助演男優賞を受賞した佐野弘樹インタビュー「ヒモ役が似合うと言われ…そういう見え方もあるんだ」

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この街と私 佐野弘樹
(C)2019 地域発信型映画「この街と私」製作委員会

実話ベースの映画『この街と私』

希望とは異なる仕事で働く若手ADの葛藤を描く実話ベースの映画『この街と私』が、3月4日より劇場公開される。このたび、本作品で第5回賢島映画祭助演男優賞を受賞した佐野弘樹がインタビューに応じた。

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ヒモ役が似合うと言われ「そういう見え方もあるんだ」という一面を知れて嬉しかったという佐野は、「今までの体験が活かせた」と喜び、自身が演じた翔也役について次のように取り組んだことを明かした。

「ヒモと呼ばれてはいるんですけれど、美希が本心をそのまま曝け出すのは僕とのシーンだけで、彼女を支える心の拠り所は翔也しかなかったので、撮影では、気を遣わせないだとか拠り所になる関係値が最初からできているように意識しました」

彼女である美希役(上原実矩)との関係性については、次のように想定して臨んだ。

「2人の背景が描かれてないので、ヒモになってから彼女はどれくらい1人で家計など踏ん張ってくれていたのか考えた時に、言葉では強い言い方をしても、別れるというところまではいかないような関係性が確実にあるんだろうなと思いました」

そんなヒモの翔也に共感する部分がたくさんあったと語る。

「翔也は美希をちゃんと支えてくれてはいます。美希が本当にしたいことをすっと言ってあげるところは、見る人によっては無責任と思うかもしれないですが、美希が仕事をしているところを見ていないから言えるところもあるかもしれないし、普段美希がやりたいことを知っているからなので、共感したというか、そうあるべきだと思いました」

実際、美希はADの仕事がうまくいかず翔也に当たってしまい、寛大じゃない彼氏だったら別れを切り出されてしまうようなことも言い放つ。もしも佐野が翔也と同じ立場でも、同じ選択肢をとるだろうと言う。

「台本に書かれていない何年かがあって、翔也がもっとダメな時に美希が支えてくれたんだと思います。今度は彼女の一歩を43分(の映画)で切り取る形だったので、ああいうことを言われても、美希との関係性だったら、イラッとはくるけれど、『この子のために』という思いもあるし、翔也と似たような選択肢を取るのではないかと思います」

第5回賢島映画祭で助演男優賞を受賞したときは、仕事で映画祭に行けず、監督から連絡を受けたという。

「個人的な賞を頂くのが初め てだったので、手元にトロフィーが来て、嬉しいなと純粋に思いました」

もっとも、今までの努力が報われたという感想はなかったようだ。

「変かもしれないんですが、作品の撮影が終わったら、その作品が離れていく感覚があって、試写などで完成した作品を見ても、『ここはこうできたんじゃないか』と思うこともなく、切り離して見ています。『この賞はこの作品の時にもらえた』という感覚があります」

本作品については、「世代問わず、初心を思い出させてくれる映画なので、映像業界を目指している人や、どうやって自分の好きな夢を追っていこうかと思っている人に特に見に来て頂きたいと思います」とアピールした。

劇場版『青葉家のテーブル』で注目の上原実矩主演

本作品は、地域発信型映画として東京都葛飾区を舞台に制作され、メインキャスト全てがオーディションで選ばれたメンバーでキャスティングされている。300名以上の応募の中から主人公・美希役に選ばれたのは、21年に『青葉家のテーブル』で話題となり、『ミューズは溺れない』で第22回TAMA NEW WAVEコンペティションでベスト女優賞を受賞した上原実矩。

美希の彼氏・翔也役を演じた佐野弘樹は、本作品が準グランプリを受賞した第5回賢島映画祭で助演男優賞を受賞。さらにディレクターの中山役を宮田佳典が、プロデューサーの寺本役を伊藤慶徳が演じる。

劇中のテレビ番組「この街と私」には、実際の葛飾観光大使でもあるLiLiCoと芸人の大西ライオンが本人役で登場。美希の憧れの芸人として天竺鼠の川原克己、インタビューを買って出る客役で「ですよ。」、居酒屋で遭遇する芸人役で大溝清人(バッドボーイズ)ら数々の芸人たちが本人役を演じる。

『この街と私』は3月4日より劇場公開される。