韓国映画界で辛酸をなめ続けた異端の天才監督キム・ギドクの傑作を特集上映
独特すぎる世界観から“異端天才児”と呼ばれるキム・ギドク監督。2012年にヴェネチア国際映画祭グランプリ「金獅子賞」を受賞した『嘆きのピエタ』の日本公開を記念し、過去の傑作『サマリア』と『うつせみ』の特集上映が行われることとなった。
小学校卒業後、職業訓練校や工場労働者、軍隊を経て30歳のときに単身渡仏。路上画家として暮らしていたときに『羊たちの沈黙』『ポンヌフの恋人』で初めて映画に出会い衝撃を受け、映画の世界へと飛び込んだギドク監督。
学歴社会の韓国において小学校程度の教育しか受けていない監督はまさに異色の存在で、韓国映画界では辛酸をなめつづけてきた。だがその作品に対する国際的な評価は極めて高く、『サマリア』はベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞、『うつせみ』はヴェネチア国際映画祭銀獅子賞を受賞、セルフドキュメンタリー『アリラン』はカンヌ国際映画祭「ある視点部門」最優秀作品賞を受賞し、世界3大映画祭を制覇している。
今回上映される『サマリア』は、援助交際をする女子高生の友情を描いた美しくも残酷な物語。『うつせみ』は、空き家を渡り歩く青年と生活に疲れた人妻との秘密の旅を描いた作品。東京・早稲田松竹にて5月25日〜5月31日まで上映される。
一方、『嘆きのピエタ』は親に捨てられ天涯孤独に生きてきた借金取りと、突然彼の前に現れた“母”を巡る物語で、二転三転のどんでん返しを通じ、愛の形について描いたサスペンスドラマだ。こちらは6月15日よりBunkamura ル・シネマほかにて全国順次公開される。
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