是枝裕和監督が凱旋記者会見、カンヌでスピルバーグに名前を読み上げられた喜び語る

2013.05.28

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第66回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞した『そして父になる』の是枝裕和監督が5月28日にフランスから帰国し、成田国際空港で記者会見を行った。

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柳楽優弥が男優賞を受賞した『誰も知らない』に続きカンヌでの2度目の受賞となったが、前回に比べて少し余裕が持てた様子。前回はいろいろなことを考える余裕はなかったそうだが「今回は少し賢くなって、カメラがこっちを向いたので『俺かな』と思ったんです」と振り返り、「スピルバーグが名前を呼び上げてくれて、それだけで大満足といった感じでした」と語った。

そのスティーヴン・スピルバーグ監督が審査員長をつとめ、ニコール・キッドマンらが審査員をつとめた今回の映画祭。受賞後のパーティで彼らと話したか聞かれると「スピルバーグさんは、『そして父になる』は映画祭の期間中、何かしらの賞から外そうと思ったことはなかったと言ってくれましたし、ニコール・キッドマンさんは上映を見て泣いていらっしゃったようで、心に届く話と言ってくれました」と感慨深げ。「作品を誉めていただけるのは大変光栄なことです」とも話した。

今年は河瀬直美監督が審査員をつとめ、三池崇史監督の『藁の楯わらのたて』もコンペティション部門に出品されるなど日本映画に注目が集まった年だったが、日本映画の大きな流れを感じたか聞かれると、「日本の映画というのは世界的に見ても豊かな歴史があると思います。僕自身もデビューして以来ずっと小津安二郎から受けた影響を聞かれることが多くて、はじめの頃は、あんまり見ていないし影響も受けてませんなんて答えてたんですが、自分のなかに流れている家族観や死生観は共通していて、日本人としての特異性を感じますね。それは大切なことだと思います」と語った。

また、主演の福山雅治からメールが寄せられたことも明かした。そして「普段ならあまり接点のない福山雅治さんとご一緒させていただき、彼が今まで見せたことのない表情、彼の魅力をどうやって引き出そうということが刺激になりました。今回の取り組みは僕にとっても彼にとっても新鮮だったと思うし、僕自身楽しかったです」と作品作りを共にした感想を語り、「彼のドラマ（撮影）が落ち着いたら皆で祝いたいと思います」と笑顔を浮かべた。

さらに取材陣から「受賞してオファーが殺到しているのでは？」と聞かれると、「オファーは殺到していないです」と苦笑い。次回作の構想については「今年はとにかく『そして父になる』に集中して、来年から具体的に考えていきたいと思います」と回答。最後に「オファーは殺到していないので、何かありましたらぜひ（笑）」と付け加えた。

『そして父になる』は10月5日より新宿ピカデリーほかにて全国公開される。