どう演じるか話し合う必要もない主演と監督…音の記憶を辿る、感覚を研ぎ澄ませて見るべき映画

#MEMORIA メモリア#アピチャッポン・ウィーラセタクン#コロンビア#タイ#ティルダ・スウィントン#南米#記憶#音

MEMORIA メモリア
(C)Kick the Machine Films, Burning, Anna Sanders Films, Match Factory Productions, ZDF/Arte and Piano, 2021.
MEMORIA メモリア
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ティルダ・スウィントン主演、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督『MEMORIA メモリア』

アピチャッポン・ウィーラセタクン監督最新作『MEMORIA メモリア』が3月4日より全国公開される。このたび、新しい場面写真と共に監督からのメッセージが公開された。

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主演はティルダ・スウィントン。デレク・ジャーマン作品でのスクリーンデビュー以降、MCU作品『ドクター・ストレンジ』などの大作から、自身が製作総指揮と主演を兼ねたインディペンデント作品(『MEMORIA メモリア』も該当)に至るまで、大小を問わず唯一無二の存在感をスクリーンで発揮し続けている。

アピチャッポン監督とは旧知の仲で、「いつか一緒に作品を」との思いを温め続けていたそう。今回もアピチャッポン監督との共鳴を語る。

「ジョー(アピチャッポン監督の愛称)とは、メールやスカイプなどでずっと連絡を取り続けていました。彼の作品は別格で、何年も探し求めていたものがあります。役に押し込められるのではない開放感があり、私のリズムを尊重してくれました。表現者として動物のようでいたいと思っているのですが、それを叶えてくれたと思っています」

「まるで水中で歩くように」ゆっくりと演技

ティルダ演じるジェシカは、自分にしか聞こえない頭の中の【音】を聞き、導かれるように首都ボゴタから山間部の町ピハオを訪ねる役柄。それをどう演じるかについては、ティルダとは前もって多くを話し合わなかったとアピチャッポン監督は語る。

「彼女が、“自分は単なる俳優ではなく、チームの一員であり協力者なのだ”と言う意味を、撮影が進むにつれ理解しました。どのテイクでも彼女は自然で、難しいショットでは、リプレイを見たがり、スタッフと一緒に評価を下そうとしていました。ティルダには、普段の彼女よりゆっくり動くように頼みました。“まるで水中で歩くように”と」

「彼女は“カット”がかかった後、演じる人物を引きずりません。再び本来の明るい彼女に会えることに、スタッフは皆幸せを感じていました」

さらにアピチャッポン監督は、日本の観客へのメッセージを寄せた。

「ぜひ待たずに、映画館で本作品をご覧ください。サウンドデザインにもこだわっています。皆さんがどのようにこの映画を受け取ってくださるのか、とても興味があります」

“頭内爆発音症候群”の経験が生んだ物語

南米コロンビアが舞台の本作品は、監督が初めてタイ国外で制作。監督自身が経験した「頭内爆発音症候群」から着想を経た記憶の旅路が描かれる。ティルダ演じるコロンビアのメデジンで農ラン業を営むジェシカは、病床の妹を見舞うため首都ボゴタを訪ねた夜、ある“音”に襲われたことから、物語は動き始める──。

『MEMORIA メモリア』は、3月4日より全国公開される。