3月5日、ドキュメンタリー映画「ムクウェゲ『女性にとって世界最悪の場所』で闘う医師」の公開を記念した舞台挨拶が行われ、立山芽以子監督が登壇。本作にまつわるトークを実施した。
・スマホ製造が原因? 女性にとって世界最悪の場所、コンゴ東部の今に迫る
コンゴは「最も豊かで、最も貧しい国」
本作は、TBSのドキュメンタリー映画を総括する新ブランド「TBS DOCS」が展開するドキュメンタリー。「女性にとって世界最悪の場所」と呼ばれているアフリカ大陸のコンゴ民主共和国東部を舞台に、性暴力によって肉体的、精神的に傷ついた女性たちを20年以上にわたって無償で治療してきた婦人科医デニ・ムクウェゲの闘いの日々を追う。
本作を見終わり、コンゴ東部ブカブで起きている性暴力の厳しい現状とムクウェゲ医師の闘いを目の当たりにした観客の前に立山監督が登場。「2016年に友人からムクウェゲ先生が来日するので、取材をしてみませんかと声をかけてもらったのがこの映画を作ることになったきっかけ。以前からアフリカの取材をしていましたが、ムクウェゲ先生のことは知りませんでした」と取材の始まりについて話し、来日の折には取材を重ね、足掛け5年ほど取材を続けた制作の経緯を語った。
ムクウェゲ医師の印象は「とにかく大らかで温かい方。女性たちに対しては、助けてあげるという一方的な態度ではなく、先生も彼女たちを助けることで学びを得ている。お互いが支えあっているのを感じました。ただ、コンゴの問題や国際社会の無関心の話になると、言葉が激しく強くなります」とその人となりを表現。
現地コンゴに行った時の印象は「とにかく美しい国。緑も水も豊かで鉱物資源もたくさんあります。平和以外は何でもある国と言われています。ムクウェゲ先生は世界で最も豊かで、最も貧しい国とおっしゃっています」と答えた。
この映画を見終わった後の無力感をどうしたらよいものかと問われて「この映画を見て、感想はそれぞれ。すぐに答えが出せることではありません。実はこの映画を作りながら、私はその答えを持ち合わせてはいません。私たちがスマートフォンを使わなくなれば、明日からコンゴに平和が訪れるわけでもありません。この映画を見ることが、考えるきっかけになればと思って作りました。映画の中に高校生の授業のシーンがあります。私の好きなシーンです。遠いアフリカで起きていることなので、私たちには関係ないと思いがちです。でも彼女たちは自分事として考えようとしています。その姿に希望を感じます。そして今日、この上映に皆さんが来て下さったことが、1つのきっかけになると思います」と語った。
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