語呂合わせで「サボ(3)テン(10)」ということで、3月10日はサボテンの日だそうだ。岐阜県の「さぼてん村」を経営する岐孝園によって制定された記念日とのこと。ということで、サボテンにまつわる映画をピックアップしてみた。今回はどちらも、1960年代製作のクラシカルムービーである。
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めんどくさい大人たちの恋の結末が気になる『サボテンの花』
1本目は、往年の大女優イングリット・バーグマンと若き日のゴールディ・ホーンが出演する1969年製作の『サボテンの花』だ。イングリット・バーグマンが演じるのは、独身貴族の歯科医の元で働く勤続10年のベテラン看護師ステファニーである。彼女はクリニックのデスクでサボテンを育てている。と同時に、サボテンは中年独身女性ステファニーの象徴としても描かれる。ボスの歯科医ジュリアンはステファニーと同世代だが、多くの女性と浮名を流してきたモテ男だ。目下、親子ほども年が違うゴールディ・ホーン演じるトニーと交際中である。妻帯者でありながら独身を語る男性は数あれど、ジュリアンは逆である。交際女性から結婚を迫られることを嫌い、独身でありながら既婚者と偽って割り切った関係を楽しんできたのだ。
いざ交際中のトニーと真剣に結婚を考えた時、この「白い嘘」がトラブルの元となって周囲の人間関係を攪乱していくのである。60年代の空気感たっぷりのファッションやキラキラとこぼれ落ちそうな瞳のゴールディ・ホーンも見どころの一つだが、やはりあのイングリット・バーグマンが悲哀をはらんだ中年女性像を演じる姿が興味深い。果たしてサボテンの花は咲くのか咲かないのか、それは見てのお楽しみである。
B級映画ならではのシュールさ! 『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』
続いてご紹介するのは、サボテン“のような”不思議な植物が主人公(?)の『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(1960年)だ。その後リメイクやミュージカル化もされており、「これぞB級映画!」といった突っ込みどころが満載の作品である。
お馬鹿で強引なストーリー展開、クセがありまくりの登場人物、トンチンカンなセリフ回しなど、ともかくいい意味で全てが“突き抜けて”いる。舞台は街の花屋。そこに勤めているちょっと抜けた青年シーモアが育てているサボテンのような珍種の植物が、人間の血肉が大好物のとんでもないモンスターに成長していくというホラーコメディだ。ただし、血生臭さや恐怖感は皆無。花屋に花を買いに来てその場で塩をかけて食べる常連客、歯医者での麻酔なしの施術に興奮するドM男(演じているのはジャック・ニコルソン!)など、よくも大の大人が集まって真顔でここまで真剣に馬鹿をやれるな(※誉め言葉)、といったアクの強いキャラクターがオンパレードの楽しい作品である。
クラシカルな作品は好みが分かれるかもしれないが、時には古い作品特有のノスタルジーに浸ってみるのも悪くないのではないだろうか。(T)
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