『リング』『らせん』『仄暗い水の底から』といった人気ホラー映画の原作者でもある鈴木光司の著書「エッジ」が、現地時間7月14日にマサチューセッツ州バーリントンで行われた米文学賞「シャーリー・ジャクスン賞」の選考会で長編賞に輝いたことがわかった。
シャーリー・ジャクスン賞は、心理的サスペンス、ホラー、ダークファンタジーのジャンルにおいて最も優れた小説に贈られる文学賞。プロの作家、編集者、批評家、研究者による審査員の選挙により決定される。
同賞は、選考年の前年(1月1日〜12月31日)に英語で発表された長編小説、中編小説、短編小説、ショートストーリー、単独著者によるコレクション、複数著者によるアンソロジー等のカテゴリに分類されて選考され、長編小説部門での日本の小説の受賞は初めてとなる。
同賞受賞にあたって鈴木は「このような栄誉ある文学賞をいただけたこと、まことに嬉しく思います。ぼくは今、世界でもっとも幸運な人間であると実感しています」と受賞の喜びを語ると、売れない作家時代に、高校教師であった妻に代わって、2人の娘たちの子育て全般を受け持つことになった10年間に渡る子育て期間によって、「ぼく自身、大いに成長させてもらいました」とコメント。
「今回の受賞作『エッジ』の中でも、子育ての体験は生かされています」と明かすと、「『善とは何か』という問題を宇宙レベルにまで拡大させたのが、『エッジ』のテーマです」と続け、娘との交流が作家生活やこの作品に大きな影響を与えてきたと告白している。
「エッジ」は2008年12月に単行本、2012年1月に角川ホラー文庫で刊行され、現在累計部数10万部に達している人気小説。長野、新潟、カリフォルニアで人々が突如“消失”する怪現象が起こるなか、フリーライターの栗山冴子は、ある一家が忽然と姿を消した“一家失踪事件”の謎を追い始めるというもの。冴子は18年前に父が、やはり消失ともいえる突然の失踪で行方不明となっており、一連の事件のなかに、人類が経験したことのない未曾有の世界的異変を嗅ぎ取るというサスペンス・ホラーだ。
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