動物愛護の国トルコに“犬目線”で密着! 路上で暮らす難民少年と犬たちの絆描く

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ほぼ全編が犬目線で撮影されたドキュメンタリー『ストレイ 犬が見た世界』が、318日より公開。ムビコレでは、エリザベス・ロー監督のインタビューを掲載中だ。

・『ストレイ 犬が見た世界』エリザベス・ロー監督 インタビュー

犬の目線、犬の聞こえ方を再現し犬の世界を体感!

動物と人間の関係性を新たな視点でとらえた本作は、北米を代表するドキュメンタリー映画祭のひとつ、Hot Docsカナダ国際ドキュメンタリー映画祭で最優秀国際ドキュメンタリー賞を受賞した。

舞台となるトルコは、世界でも珍しいくらいに犬との歴史や関係が深い国だ。20世紀初頭にあった大規模な野犬駆除という悲しい歴史への反省から、安楽死や野良犬の捕獲が違法とされている国のひとつであり、動物愛護に関する国民の意識も非常に高い。

自身も愛犬家であるエリザベス監督。本作を撮ろうと思ったのは、子どもの頃に飼っていた犬の死がきっかけだったという。リサーチを進める中でトルコの動物愛護についての政策を知り、イスタンブールの賑やかな地下トンネルの中で主人公の犬・ゼイティンと出会った。

エリザベス監督はゼイティンの「何か目的を持っているような感覚に惹かれた」と話す。ゼイティンを追いかけると、別の野良犬やトルコで難民として路上生活をしているシリア出身の3人の少年たちのもとへと導いてくれた。

「目立たない野良犬であるゼイティンの導きによって、私は人間社会のひび割れを目にすることになりました。戦争やネグレクトといった試練の中で形成された人々のコミュニティと、たとえ社会の片隅に追放されても生き延びようとし続ける人たちの姿です」。

エリザベス監督が目にしたのは、シリアの難民の少年たちと野良犬たちが身を寄せ合い、共生する姿だったという。「私たちは、犬と少年たちが建設現場や静かな歩道に身を寄せている様子を何ヵ月も追いかけました。過酷な状況にもかかわらず、彼らはいっときの家族を形成していました。彼らの相互依存の絆から発せられる暖かさと愛に、私は深く感動しました。犬という仲間がいなければ、シリアの少年たちは、自分たちの国ではない街で、まるで漂流しているようかに感じたことでしょう」。

本作は、犬の目線の高さに合わせ、常にローアングルで撮影。さらに、犬の“聞こえ方”を再現するサウンドデザイン設計を行った。「実際に犬たちが聞いている音とまったく同じではないかもしれないけど、私たちが普段感じているものとは違う犬たちの音の世界を想像しながら、それを映画的に再現できるのではないかと考えました。そして、サウンドデザインを通して、私たち作り手から観客に対して、犬たちがどんな風に世界を見ているのかを伝えようとしました」。

犬目線で人と犬の共生社会をのぞき見られる本作。インタビューでは他にも、エリザベス監督が警戒されずに犬たちを撮影した方法や、鑑賞した人々からの反響についても語られている。エリザベス・ロー監督のインタビュー全文はこちらから!