【今日は何の日】散歩にゴーの日! おじいさんのロードムービー和洋2選
本日、3月25日は「散歩にゴーの日」。高齢者向けの転倒時怪我防止ガードルのPRを目的として制定され、高齢者に転倒を怖れず春の外出や行楽を楽しんでもらいたいとの思いが込められた記念日だ。そんな日にちなんで、おじいさんが旅に出るロードムービーを2本ご紹介しよう。
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人生を見つめ直す旅『長い散歩』
定年退職するまで高校の校長を勤めてきた安田松太郎は、妻を亡くしたことがきっかけで古びたアパートで一人暮らしを始める。家族を顧みず、仕事第一で生きてきた安田は、妻をアルコール依存症に陥らせ、娘の憎しみをかっていた。
妻の位牌を連れ、過去を精算するかのように始めた質素な一人暮らし。その隣室には、水商売風の女とその一人娘が暮らしていた。幼稚園にも行かずに毎日1人で過ごす少女は、背中にボール紙で作った天使の羽を背負っている。物音から少女が虐待されていることを知った安田は、少女に同情心を抱きつつも、自分の娘にした過去の仕打ちを思い出し自責の念に苦しんでいた。そんなある日、安田は少女を連れ出し、旅へと出かける。
家族への後悔を抱え続ける安田を演じるのは、緒形拳。安田に対して少しずつ心を開いていく少女(幸)を演じる杉浦花菜との演技が素晴らしい。人生とは何か、旅とは何かを深く考えさせられる作品だ。
73歳、小型トラクターで旅へ!?『ストレイト・ストーリー』
73歳のアルヴィン・ストレイトは、腰が悪くて杖がなくては歩けず、目が悪いため車の運転もできない。しかし、仲違いしたきり会っていなかった兄が倒れたという知らせを受け、350マイル(約560km)もの距離を移動し、会いにいくことを決意する。小型トラクターに乗って…。
最初のチャレンジは、エンジンの故障により早々に失敗してしまう。しかし、諦めないアルヴィンは、中古のトラクターを購入。再度旅へ出かける。果たして、アルヴィンは無事に兄の元へと辿り着けるのだろうか。
本作は、『イレイザーヘッド』や『ツイン・ピークス』などで知られるデヴィッド・リンチ監督が手がけるロードムービー。1994年に「ニューヨーク・タイムズ」に掲載された実話をもとにした作品だ。おじいさんがトレーラーを繋いだ小型トラクターに乗って旅するビジュアルのインパクトが大きく、それだけでもだいぶ面白いのだが、本作の魅力はもちろんそれだけではない。
旅先ではさまざまな人との出会いがある。家族に妊娠したことを言えずにいる妊婦、週に一回シカを轢き殺してしまう女性、心優しい神父など。そんな人々と、ポジティブでお茶目な性格のアルヴィンとのやりとりは、延々と見ていられそうなほどキュートだ。決めたことを曲げずに、トラクターでの旅を遂行しようとするアルヴィンの姿に、道中で出会う人々も、映画の観客もつい応援してしまう。何かを始めたり、成し遂げたりするのは何歳でも、何歳からでも良いのだと勇気をもらえる映画だ。
これから行楽シーズンだが、まだまだ出かけにくいご時世でもある。もし、遠出したくなったなら、ロードムービーで旅気分を味わってみるのも良いかもしれない。(Y)
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