6月24日より映画『ルッツ 海に生きる』(原題:LUZZU)が全国順次公開されることが決定した。あわせてポスタービジュアルが完成した。
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主演ジェスマーク・シクルーナは本物の漁師!
本作は、地中海マルタで漁を営む男を通じて、社会の不条理に切り込んだ人間ドラマ。2021年に実施されたSKIPシティ国際Dシネマ映画祭では、国際コンペティション部門でグランプリを獲得した。
主演のジェスマーク・シクルーナは俳優ではなく、実際もルッツの漁師として働いている。何ヵ月にもわたり、マルタ島で主役の漁師を探し続けていたキャスティング担当とアレックス・カミレーリ監督の目にとどまり、本作の主役に抜擢された。演技未経験ながら、まるで主人公として生きているような自然かつ見事な演技を見せ、サンダンス映画祭ワールドシネマ・ドラマティック部門で俳優賞を受賞している。
物語の舞台は地中海の島国マルタ。26歳のジェスマークは、曾祖父の代から受け継いできた伝統の漁船「ルッツ」で漁師をしている。ある日、漁に出るが魚はあまり捕れず、ルッツの船底に水漏れを見つける。修理をしなければ、大事な商売道具が使えなくなってしまうが、修理にはお金がかかる。不漁が続き、思うように収入を得ることができない状況の中、生まれて間もない息子の発育不良がわかり、治療にも費用がかかることになってしまう…。動揺して裕福な実家を頼ろうとする妻デニスと、夫婦2人で乗り越えたいジェスマーク。夫婦の間には徐々に不協和音が生じ始める。親友のデイヴィッドの手伝いもあり、ルッツの水漏れを直すことはできた。しかし、漁師である以上、安定した収入を常に得ることができないことを痛感したジェスマークは、漁師としてやってはならないことに手を染めてしまう…。ルッツの漁師という職業に誇りをもって生きてきたジェスマークだったが、妻と息子を養っていくためにはお金を稼がなければならない。このままルッツで漁を続けるのか、安定した収入を得るために別の仕事に就くべきなのか。人生の選択を迫られることになる、というストーリーが展開される。
主人公を悩ませているのは、魚が捕れないという厳しい現実。温暖化の影響もあって、魚の量は減るばかり…。それを打開するために作られたはずのEUの漁業のルールや、大型トロール船の存在が個人経営の漁師たちを苦しめている。小さな港町のコミュニティには、ヒエラルキーが存在し、その秩序は保たれている。そこを仕切るのは仲買人。絶対的な権力をもち、魚市場での競りを仕切る存在。彼らが競りにかける順番や最初の価格を決める。仲買人に逆らえば競りには参加できず、漁師は自ら今日捕った鮮魚を港周辺のレストランに売りに行くしかない。ルッツの漁師は一番重要な存在でありながらも、このヒエラルキーの末端の存在といえる。
かつてイタリアのルキーノ・ヴィスコンティ監督は、イタリア・ネオレアリズモの代表作『揺れる大地』48年にてシチリアの漁村を舞台にその地の実際の漁師たちを配役。仲買人に反旗を翻した漁師の苦悩と葛藤を見事に描き切った。
『ルッツ 海に生きる』を監督したマルタ出身の米国人アレックス・カミレーリは、『揺れる大地』にオマージュを捧げる意味で、70年以上が経った現代のマルタを舞台に、実際の漁師を主人公に本作を製作している。
ポスタービジュアルでは、生まれたばかりの子供に発育不良が見つかったシーンをデザインし、主人公ジェスマークの苦悩と葛藤を表現しています。
『ルッツ』は6月24日より全国公開。
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