彼らは生還できるのか…? 『チェルノブイリ1986』本編映像公開

チェルノブイリ(チョルノービリ)原子力発電所で起きた爆発事故。全世界を未曾有の危機から救うため命を懸けた消防士の壮絶な運命を、先般ロシア当局からウクナイナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領と共に“ペルソナ・ノン・グラータ”(好ましからざる人物)に認定されたアレクサンドル・ロドニャンスキーがプロデューサーとして描いたヒューマン・スペクタクル大作『チェルノブイリ1986』が、5月6日から、全国で公開される。この度、本作の肝となるシーンの本編映像が公開された。

1986年4月26日、ウクライナ・ソビエト社会主義共和国プリピャチのチェルノブイリ原子力発電所で起きた爆発事故。この未曾有の大惨事は、のちに超大国のソ連が崩壊した一因になったとも言われ、数多くのドキュメンタリーが作られた。

そしてこの度、他とは全く違った視点で描いた映画『チェルノブイリ1986』を完成させた。

この事故が、人々の日常生活や生命をどれほど脅かし、彼らの人生に壊滅的な影響を与えたのか。事故発生当時、現地で撮影した経験を持つプロデューサーが、爆発直後に現場に急行した消防士たちの苦闘や避難民たちの混乱ぶりなど、一般市民の視点からリアルに映し出した、映画だからこそ描けたヒューマン・スペクタクル巨編が、ついに日本公開される。

若き消防士のアレクセイ(ダニーラ・コズロフスキー)は、原発で起きた爆発事故の救助にかけつけた後、病院で手当を受けるが、原発の地下通路の構造に詳しいという理由で事故対策本部の会議に招集される。

爆発した4号炉から溶け出した核燃料が、炉の真下にある貯水タンクに達すると大規模な水蒸気爆発が発生、もしもそれが現実になれば大量の放射性物質がまきちらされ大惨事を招くという説明は衝撃的なものだった。

回避する唯一の手段は、誰かが命がけで放射線量が極めて高い地下に赴き、貯水タンクの排水弁を手動で開くこと。アレクセイは愛するオルガ(オクサナ・アキンシナ)と息子のため、水蒸気爆発を阻止する決死隊に志願し、原発技師のバレリー(フィリップ・アヴデーエフ)、軍のダイバーであるボリス(ニコライ・コザク)の3人で排水バルブをめざすが、彼らの行く手には想像を絶する苦難が待ち受けていた……。

撮影監督「これほど複雑で大規模な水中シーンを扱ったのは初めて」

3人の志願者が冷却水プールの排水バルブを開けに行く水中シーンを撮影するにあたっては、本格的な準備が必要だった。

撮影監督を始めとするクルーは、数ヵ月におよぶ理論的かつ実践的な指導を受け、ダイバーの資格を取得。その結果、水中シーンはスタントなしで撮影され、俳優自身が演技を行った。

しかしハンガリーでの撮影中、クルーは多くの課題に直面した。原子炉の下の浸水した通路には照明がなく、3人のダイバーは懐中電灯で照らしながら水中を進むことになる。撮影監督のクセニア・セレダが語る。

「最初の爆発の後、水はほこりや汚れで濁っており、さまざまな破片が浮かんでいるはずだと考えました。しかし、そんな濁った水をカメラが見通すことはできない。照明を加えようとすると水自体が煙のようになり、光が反射してしまい、目的の場所に届かないのです。おまけに、俳優の水中での能力の限界も考慮しなければならない。つまりクリエイティブな解決策を導き出すのは簡単ではなかったのです。これほど複雑で大規模な水中シーンを扱ったのは初めてでした」

『チェルノブイリ1986』は5月6日から、全国で公開される。