バイクでつるんでやりたい放題! 意味不明ゆえ映画史に輝く“ヒドイ”カルト映画
『サイコマニア』と『爆走! 狼男』予告編
世間から見向きもされない野蛮極まりない、気が滅入る特集上映≪狂人暴走・大激突≫の第2弾、≪大暴走・野蛮地獄≫が、5月20日よりシネマート新宿にて開催される。このたび、その中でも圧倒的な希少性を誇る2作品、『サイコマニア』と『爆走! 狼男』のオリジナル予告編が公開された。
日本初上映の『サイコマニア』は、映画史上最高の<ひどい映画>と云われる1972年のイギリス暴走族映画だ。
<リビング・デッド>と名乗る暴走族が黒魔術により本当の生ける屍と化し、不死の身体を手に入れることで死の恐怖から解放された<生ける屍>たちは、街中で好き放題の大暴走と悪戯を行う。
海外では「ゾンビ・バイカー映画史上、最もカッコいい作品」「映画史は、これほどまでに弁解する意志がまったく見られないほど堂々とした作品には出会ったことがない」などと評され、低予算のジャンル映画ながらも世界的にカルト的人気を誇る。
日本ではソフト化はされているものの劇場未公開だった作品で、この度の特集上映で日本初の正式上映となる。
オリジナル予告編では、暴走族の<リビング・デッド>たちの大暴走シーンの合間に黒魔術的なシーンが挟み込まれ、さらにはストーンヘンジ風のアジトでバイクでぐるぐるまわる暴走族の姿や、悪戯によって被害に合う一般人のトラックの爆発シーンなど、何の映画かわからないが、様子がおかしいことだけはわかるようになっている。
タイトルである「サイコマニア」という言葉がナレーションとテロップで連呼されるのは、潜在意識に落とし込もうとするサブリミナル的なものといえるだろう。
こちらもやっぱり……暴走族と黒魔術
そしてこの度の特集上映で日本初上陸となるのが、1971年アメリカ映画『爆走! 狼男』だ。
60年代末~70年代に『イージー★ライダー』を頂点とする大ブームとなり、大量生産された米国産バイカー映画(暴走族映画)の中でも海外の一部では最高傑作と評される超怪作で、暴走、リンチ、昼寝のシーンがこのジャンルの必須かつ定番の条件の中、黒魔術と狼男という要素も加えてしまったてんこ盛り作品。
暴走族である<悪魔の擁護者>が、ひょんなことからサタンにパンと葡萄酒を振る舞われ、怪しい儀式を施された結果、次々と変死を遂げていく──。
過去日本に輸入されたことはなく、約20年前に他のバイカー映画とともに買付けが試みられたことがあったが、「この作品はあまりに特別だ。他の作品と同列に考えてはいけない」との言葉と共に他作品の10倍以上の権利料を要求されたことで買付けが断念された経緯がある。
オリジナル予告編は、暴走族に黒魔術を施すサタン、<ONE>の呪文のような言葉で始まる。そして暴走とリンチもきっちり挿入されつつ、黒装束を纏ったモンクたちやサタンまで映り、そして最も有名なシーンである<ヘビ踊り>も映る。
ナレーションでは「史上最もエキサイティングなモーターサイクル・ホラーを見逃すな!」「史上最もおそろしいモーターサイクル・ホラー!」と語られつつも、最後には「史上初めて作られたモーターサイクル・ホラー!」となり、よく考えるとつじつまが合わなくなっているが、作品が唯一無二であることは理解できるものとなっている。
黒魔術と暴走族いう共通点を持つ2作品は、黒魔術暴走族映画の英米の頂点(というか、この2作しかない)で、同時に同じ劇場で上映されることは世界的にみても相当な出来事! シネマートのスクリーンが黒魔術と排気音でまみれる野蛮かつ貴重な上映を堪能しよう。
特集上映≪狂人暴走・大激突≫の第2弾、≪大暴走・野蛮地獄≫は、5月20日より6月9日、シネマート新宿で躊躇なくロードショウ。
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