有機ELに惹かれるも、予算オーバー…
約10年にわたるテレビ無し生活が続いていた我が家だが、先日の引っ越しを機に55V型のチューナーレステレビを購入。地上波放送は映らない。チューナーレスというと、ドン・キホーテが昨年12月にプライベートブランドから発売し大ヒットさせた「Android TV機能搭載フルHDチューナーレススマートテレビ」をご存じの方もいるだろう。今回購入したのはこの商品ではないが、我が家のテレビ購入に至る紆余曲折を書いてみたいと思う。
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先ほど「テレビ無し生活が約10年」と書いたが、本当のところ、我が家には5年ほど前までモニターはあった。約25年モノの、地上波デジタル未対応のモニターが……。2011年の地上波アナログ放送終了以後、テレビ番組を見ることはできなくなったが、DVD&ブルーレイプレイヤーにつなぎ視聴する分には問題なかった。
仕事柄、映画のサンプル盤などを視聴しなければいけない時もあり仕事用に使っていたのだが、5〜6年ほど前から画質も音質も急激に悪化。次第に映像が映らない時間が増えていった。
デジタル対応テレビの購入をチラッと考えたこともあったが、仕事が忙しくて商品選びが面倒だなと思っている間に1年経ち、2年経ち……いつしかテレビ無し生活が当たり前となっていった。とはいえ、仕事でDVDを見なければならないこともある。25年モノのテレビが完全に壊れた後は、パソコンにDVDプレイヤーをつないでしのいでいた。そのうちにNetflixやHulu、Amazonプライムビデオなどの動画配信サービスが普及。最新ドラマはTVerで、大河ドラマはNHKオンデマンドで見られるし、不便はなかった(『半沢直樹』を見たいがために、Paraviに入っていた時期も)。
だが、ちまちまと小さなパソコン画面でアクション映画を見ながら原稿を書くことに後ろめたさを感じていたのも事実。プライベートでも、もう少し大きなモニターで迫力映像を堪能してみたいという欲も出てきた。そんな折りに引っ越しがあり、その勢いで「そうだ、大型モニター買おう!」と決意を固めた。
とはいえ、長らくテレビというものから離れていたせいか、ネット検索すると出てくる膨大な情報を前に何を基準に選べば良いのか分からず途方に暮れ、購入自体が面倒になったりもしたが、気を取り直し、まずは量販店に出向いて“最新商品”をチェックしてみることに。
ずらりと並ぶテレビを見て回ること小一時間。どうやら今は、液晶ディスプレイと有機ELがしのぎを削っている状態であるようだ。お値段は、有機ELが高めで、液晶がリーズナブル。蛍光灯がこうこうと灯った店内において、有機ELの売り場は照明が暗めで高級感が漂っている。映像もクッキリ鮮やかに見える。一方、液晶は蛍光灯の下に並べられ、その強い光の反射のせいか映像も白っぽく見え、少々鮮明さに欠けるような気が……。有機ELにググッと心が惹かれるが、欲しいと思っている55V型の場合、20万〜30万円台が主流で予算オーバー。液晶なら10万円を切るものもあり、予算内に収まりそう。
人影もまばらな店内でいつまでもしつこくテレビを見比べている不審者が気になったのか、店員さんがチラチラとこちらを見ているので、有機ELと液晶の違いについて質問してみることに。
分かったのは、有機ELテレビは深い黒と高コントラストが特徴で、薄くて軽いということ。液晶テレビは寿命の長さと手頃な価格帯で人気だという。また、日々の電気代も液晶の方が安い。それから、ゲーマーにとっては液晶がオススメのようだ。有機ELは、長時間つけっぱなしにすると画面の残像が消えなくなる“焼き付き”が起きやすいからだとか。他にも映像を映し出す方式の違いなどを丁寧に説明してくれたけれど、苦手分野の言葉が多く頭の中をスルー…店員さん、ごめんなさい。
テレビについて一気に博識になった気がして嬉しかったが、やはり値の張る買い物。どれがいいか、即決はしかねる。親切な店員さんにお礼を告げ、ひとまず帰宅して熟考することに。
購入したのはテレビが映らないテレビ!
価格で考えるなら液晶一択だが、発色が鮮やかで映像の深みが印象的だった有機ELがすごく気になる。でもやはり高い……。迷う私に家人が「ドン・キホーテのチューナーレスモニターは?」と提案。早速調べてみると、スペックとしては第二候補の液晶ではあるものの、42型で税込み3万円台というのは非常に魅力的! ただし、チューナーレスなのでNHKが映らないという。
NHK公式サイトを見ると、受信料は衛星契約が24,185円/年、地上契約が13,650円/年(共に12ヵ月前払い)(※)。我が家はマンションで衛星放送を受信できる共同設備があるため、必然的に衛星契約となる。NetflixやアップルTV+、Disney+などと比べると結構高額だ。「ニュースはradikoやYouTube」派で、甲子園にもチコちゃんにも興味がない私にとって、ほとんど…というか全く見ない番組のために払い続けるにはかなり「もったいない感」が……。一方、毎年同額を貯金しておけば、テレビが壊れた頃(10年が目安といわれている)に新機種購入の原資になるではないか!「チューナーレス、いいかも!」という考えが急浮上した。※契約種別、支払い方によって料金は異なるので、詳しくはNHKサイトをご覧ください。
とはいえ、ドンキのテレビは大きくて42V型。50V型以上は欲しいと思っていたので、ちょっと物足りない。色々とググってみたところ、“会議室用”として発売している商品があることが分かった。液晶ではあるが、会社の会議室モニターとして使う目的なのでチューナーは非内蔵。43V型から85V型まで揃っている。「Apple TV」やAmazon「Fire TV Stick」などのメディアストリーミング端末を買えば、“簡単”に動画配信サービスが堪能できるようだ。価格も税込み10万円前後。
「これにしようかな」そう決めたものの、実は購入までに1ヵ月ほど悩んだ。普通のテレビならコンセントとアンテナ端子につなげば苦も無く視聴できるだろう。だが、あまり機械に詳しくない私が果たして「メディアストリーミング端末」をチューナーレステレビに接続させることが“簡単”にできるのだろうか? 結局テレビは映らず、10万円(プラス、ストリーミング端末代)をドブに捨てることになりはしないか。あれこれと悩んだ末「もう面倒くさい、どうにでもなれ!」とネットショップのボタンをクリックしたのだった。
10日ほどして届いたチューナーレステレビを箱から出し、前もってAmazonで購入しておいたFire TV Cube(購入価格¥14,980)を接続してみる。接続自体はとても簡単で拍子抜けするほどだったが、NetflixやAmazonプライムを視聴するための作業が大変だった。IDやパスワードをリモコンで入力するのが一仕事。アルファベット表から一文字一文字チマチマと選ぶのが面倒で、間違えては消しを何度も繰り返し、頭がおかしくなりそう……。もしかしたらもっと簡単な方法があったのかもしれないが、ヘトヘトになりながらもなんとか終了。数ヶ月かかったテレビ選びに、ようやく終止符が打たれ、待望のホームシアターライフが始まった瞬間だった。
以来、『イカゲーム』を皮切りに『梨泰院クラス』『愛の不時着』とベタすぎる作品選びで、小さなパソコン画面では得られなかった迫力を堪能する日々だ。最近では、音の迫力を増すためにスピーカーやサウンドバーの購入も検討し始めている。ところで、Fire TV Cubeは音声入力できて非常に便利ではあるが、小さな箱に向かって「アレクサ」と呼びかけることに、いまだ一抹の恥ずかしさを拭えずにいる。(ムビコレ編集部スタッフ S)
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