ウォン・カーウァイから脚本をボツにされ、一念発起!

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プアン/友だちと呼ばせて
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『プアン/友だちと呼ばせて』誕生秘話

ウォン・カーウァイがその才能に惚れ込んだタイのバズ・プーンピリヤ監督(『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』)の映画『プアン/友だちと呼ばせて』が、8月5日より全国順次公開される。本稿ではそのいきさつについて明らかにする。

これまでウォンは何作品もプロデュースは手掛けてはいるが、国の垣根を超え異国の若手監督に声をかけるのは初の試み。全く面識がなかった憧れの存在からのオファーにプーンピリヤは飛び上がり、「最初は『嘘だろ?』と驚いた」と振り返る。

自分にとってアイドルのような監督からのオファーに、プーンピリヤは二つ返事で快諾。“製作”を担うことになったウォンは、まずプーンピリヤを香港に呼び寄せ「バケットリスト(死ぬまでにやりたいことリスト)ムービーでいこう」というアイディアを提示する。

主人公は中国のポップスターで余命宣告を受けて世界中を旅するが、タイで出会った女性と恋に落ちるという設定で脚本を書いてみようというお題だった。

プーンピリヤは全力で取り組み、企画がスタートしてから1年間がむしゃらに書き続けたが、粘り強いことで知られるウォンから「このストーリーは捨てよう、君に思い入れが感じられない」とあっさり却下。

しかしプーンピリヤは、めげずに食らいつき、「死にゆく男性が元カノたちに感謝と謝罪、そして最後のさよならを言いに行く物語にしたいと閃いた」と語る。

新たに脚本をしたためる上でウォンから重要なアドバイスがなされた。

1つは「余命宣告を受けるキャラクターだけでなく、行動を共にするもう1人の人物を登場させよう」というもの。これは、2人で人生のレッスンを学ぶのだが、1人が生き残ることによって、その学びを未来へと継承することができるからだ。

そしてもう1つが、ウォン自身の映画作りでも貫いている「自分らしくあれ、自身のストーリーを綴れ」というアドバイスだった。

こうしてウォンの的確なアドバイスと見事な舵取り、そしてそれを真摯に受け止めたプーンピリヤは、3ヵ月という驚異的なスピードでこだわり屋のウォンも納得の脚本を完成させた。

旧交を温める旅のラストに思いがけないカミングアウト

本作品は、プーンピリア監督の半自伝的な物語で、実在し若くして他界した親友に捧げた作品でもある。副題には、余命宣告を受けた親友との友情が永遠に続くようにとの願いを込められている。

NYでバーを経営する青年ボスのもとに、バンコクで暮らす友人のウードから数年ぶりに電話が入る。ガンで余命宣告を受けたので、帰ってきてほしいというのだ。バンコクに戻ったボスが頼まれたのは、元恋人たちを訪ねる旅の運転手。カーステレオから流れる思い出の曲が、2人がまだ親友だった頃の記憶を呼びさます。忘れられなかった恋への心残りに決着をつけたウードを、ボスがオリジナルカクテルで祝い、旅を仕上げるはずだった。だが、ウードがボスの過去も未来も書き換える〈ある秘密〉を打ち明ける──。

『プアン/友だちと呼ばせて』は、8月5日より全国順次公開される。