倍賞千恵子主演『PLAN 75』大ヒット記念、貴重なカラオケシーン公開
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高齢者が自死を選ぶ制度<PLAN 75>
75歳以上の高齢者が自死を選ぶ権利を保障・支援する社会を描き、第75回カンヌ国際映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門でカメラドール特別表彰に輝いた映画『PLAN 75』が公開中だ。平日も朝の初回から満席の回が各地で出ており土日と変わらない動員を記録。7月には公開館が100を超える予定だ。また、海外での公開・映画祭への出品も決定し、海外公開は、フランス、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルク、中国、シンガポール、タイ、台湾、フィリピンの10ヵ国(6月23日時点)、映画祭は7月1日から開催されるチェコのカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭への出品が決まっている。
こうしたヒットにちなみ、このたび倍賞千恵子のカラオケシーンが公開された。
このたび公開された予告編は、倍賞千恵子演じる角谷ミチが、職場の同僚である友人たちとカラオケに興ずる一場面だ。
ミチの十八番は「林檎の樹の下で」。劇中ではこの歌が印象的に使われている。
「林檎の樹の下で」は、もとはアメリカの楽曲で、日本では1937年にディック・ミネが日本語訳で歌ったことで一躍有名に。その後も度々カバーされ、周防正行監督の映画『シコふんじゃった。』(92年)のエンディングやドラマ、CMでも使用されてきた。
早川千絵監督はこの曲を選んだ理由を「もともと好きな曲、“また明日も会いましょう”という歌詞が生きることを物語っていて、映画ともリンクしていると思った」と語っている。
倍賞自身はこの場面の撮影を振り返り、「早川監督からは、あえて下手に歌ってください、とリクエストを受けた。それが難しかった」と語っている。
なお、明日6月25日には、倍賞のバースデーコンサートが開催。そこでは、「林檎の樹の下で」も初披露される予定だ(https://www.baisho-chieko.com/consert.html)。
社会的弱者に向けられるあたたかい視線。「生きるとは何か?」を問う
本作品は、早川監督が「経済的合理性を優先し、人の痛みへの想像力を欠く昨今の社会に対する憤りに突き動かされて生まれた映画です。倍賞千恵子さん演じるミチという女性の姿を通して、人が生きることを全肯定する。そんな映画にしたい」と、是枝裕和監督総合監修のオムニバス映画『十年 Ten Years Japan』の一篇を再構築、キャストを一新して臨んだ初長編映画だ。
国は高齢化問題に対処するため、75歳以上の高齢者に自ら死を選ぶ権利を保障し支援する<PLAN 75>という制度を施行。高齢者の間では、自分たちが早く死ぬことで国に貢献するべきという風潮がにわかに広がりつつあった。
夫と死別後、ホテルの客室清掃の仕事をしながら、角谷ミチ(倍賞)は長年1人で暮らしてきた。市役所の<PLAN 75>申請窓口で働く岡部ヒロム(磯村勇斗)や申請者のサポート業務を担当する成宮瑶子(河合優美)は、制度に疑問も抱かず業務に邁進する日々を送っていた。フィリピンから単身来日した介護職のマリア(ステファニー・アリアン)は、幼い娘の手術費用を稼ぐため、より高給の<プラン 75>関連施設に転職。利用者の遺品処理など、複雑な思いを抱えて作業に臨む日々を送っている。そんなある日、ミチの職場で高齢のスタッフが勤務中に倒れたことを理由に、ミチは退職を余儀なくされる。職を失い、住む場所さえも失いそうになったミチは<PLAN 75>の申請手続きを行うか考え始め──。
年齢で命が線引きされてしまうことの恐ろしさと、そのようなシステムを生み出してしまう社会構造や人々の意識への痛烈な批判を込め、生きるとは何かを問いかける。
『PLAN 75』は、全国で公開中。
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