いまや男女平等先進国のフィンランドで、かつて男性社会の偏見に疲れ貧困にあっても自由な絵心を忘れなかった“女流”画家がいた!

#フィンランド#ヘレン・シャルフベック#北欧#男女格差#魂のまなざし

魂のまなざし
(C)Finland Cinematic

フィンランドのヘレン・シャルフベック生誕160年記念『魂のまなざし』

フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックの生誕160年を記念し、彼女の画業と人生を決定づけた1915年から1923年を描いた『魂のまなざし』 が、7月15日より順次公開される。この度、公開を記念して冒頭映像が公開された。

https://youtu.be/nAXMuvOQks8

公開された映像は、物語の行く末を予感させる冒頭部分。

ヘレンは幼少時から絵の才能を見込まれ、奨学金を得て18歳の時にパリへ渡り、20代の大半をパリで過ごした。しかし祖国に戻ると、美術界を支配する保守的で権威主義的な男性社会の中で、真実を追求する自由な魂は疲弊し、そこから逃亡することになる。

そんな田舎での母親との10年あまりに及ぶ半ば隠遁生活に、ヘレンはインタビューを受ける。

「さっさと進めましょう。インタビューは苦手だから」

ヘレンが静かに言うと、「わかります」と同意するインタビュアーに、少しビックリしたかのように目を上げる。

インタビュアーから「その理由は?」と聞かれると、少し考えるように「つい間違ったことを言うから。何を言っても誰かを怒らせる」と遠くを見てほほ笑む。

インタビューが続く中、貧相な家で絵を描くヘレンの姿と共に、四季折々の田舎の庭が美しく映し出される。

「10年以上、美術界から距離を置いてますね」と聞かれると、ヘレンは、「私のことは書かないで、注目をされたくない。思ったことを話し過ぎたわ」と言う。

「ご自分の作品をどう説明しますか? なぜ戦争や貧困を描くのか。その題材は女流画家にふさわしくない」との質問に対して、少し呆れたように「画家が描くときは、作品の説明など考えない。着想は内側と外側から同時にわき起こる。女流画家のレッテルもはられたくない。一人の画家だから」と凜として答える。

女性が自立し強い意志を持つことが許されなかった時代。しかし、どん底であっても絵を描くことを諦めなかったヘレンのひたむきな姿に引き込まれる。

ヘレン・シャルフベックの画業を決定づけた時期を描く

本作品は、フィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックの1915年から1923年までを描く。

1915年のヘレン・シャルフベックは、高齢の母親と共に田舎で暮らす、いわば忘れられた画家だった。それでもヘレンは湧き出してくる情熱のためだけに絵を描き続けていた。すべてが変わったのは、ある画商が訪ねてきて彼女が描き溜めていた159点のすばらしい作品を発見、大きな個展開催に向けて動き出したとき。しかし、ヘレンの人生で最も重要な転機は、画商が紹介した19歳年下の青年エイナル・ロイターとの出会いによってもたらされた……。

『魂のまなざし』 は、7月15日より順次公開される。