俳優の香川照之が、監督集団「5月」(ごがつ)の長編映画『宮松と山下』で主演を務めることが分かった。香川が単独主演を務めるのは、2008年以来となる。
香川照之、殺されてばかりの端役を演じる
“新しい手法が生む新しい映像体験”を標榜する「5月」は、数多くの名作CMや教育番組「ピタゴラスイッチ」を手がけてきた東京藝術大学名誉教授・佐藤雅彦、NHKでドラマ演出を行ってきた関友太郎、多岐にわたりメディアデザインを手がける平瀬謙太朗の3人からなる監督集団。過去に2本の短編映画がカンヌ国際映画祭から正式招待を受けた。
本作で香川が演じるのは、エキストラ役者として生きる男・宮松。ある日はあっけなく斬られて画面の端に消え、ある日はチンピラとして凶弾に倒れ…。そんな殺されてばかりの端役を一生懸命に取り組む目立たない男の生活を描き出す。そして津田寛治、尾美としのり、中越典子らが口数の少ない宮松の謎に包まれた現在と過去を展開していく。
香川は本作について「具体名を出して申し訳ないが、2006年に撮影した西川美和監督の『ゆれる』(06年)という映画の脚本を初見で読んで以来の異様な衝撃が走った台本だったが、聞くとその映画のメガホンをとる監督が何と3人いると言う。2人は30代の若者。残る1人は年齢不詳の男。若者の1人はどこまでも芸術的な感覚で世界を捉えていて、中世ヨーロッパの抽象画家のようだ。もう1人は、辛うじて演技の方向性を演者に伝えてくるが、目の奥では全く違う思考がカチカチと常に動いていて油断がならない。年齢不詳の男は思慮深い教授そのもので、豊かな知識の会話術に満ちながら、その実なにを考えているのか皆目分からない。そんな彼ら3人の巧みな言葉に乗せられて、私のアイディアや感性も暴発していく。ああ、久しぶりに芯のある演技をしているな…完成した作品は、やはり久しぶりの変態性に満ちていた。狂っている。褒め言葉だ。こんな映画がほしかった」と賞賛している。
『宮松と山下』は11月18日より全国公開。
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