“老女と女子高生を虜にしたBL漫画”を実写化、青春の1頁がまぶしく切ない
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『メタモルフォーゼの縁側』の劇中BL漫画を実写ドラマ化
BLドラマ『君のことだけ見ていたい』をもう見ただろうか? 映画『メタモルフォーゼの縁側』の劇中漫画を実写ドラマ化した作品だ。
『メタモルフォーゼの縁側』は芦田愛菜と宮本信子の共演で鶴谷香央理氏の人気コミックの実写映画化。芦田演じる隠れBLファンの女子高生のうららと宮本演じる夫に先立たれて一人で暮らす75歳の雪の交流を描いている。2人の友情と小さくて大きな挑戦と奇跡が胸を熱くするので『メタモルフォーゼの縁側』もぜひ見て欲しいが、今回紹介したいのは劇中作品のドラマ化のほう。
・BLで人生薔薇色!? 好きなものがあるって素晴らしい! 『メタモルフォーゼの縁側』
58歳もの歳の差のあるうららと雪を結びつけたのはBLコミックで、なかでも2人が熱狂するのが『君のことだけ見ていたい』というわけだ。2人を結びつけるコミックなのだから重要なポジションであり、『メタモルフォーゼの縁側』という映画を成立させるだけの吸引力ある劇中コミックとなっている。
倉悠貴と水沢林太郎が幼馴染の2人をかわいらしく細やかに演じる
『君のことだけ見ていたい』の主人公は幼馴染の高校生・咲良と佑真で、密かに恋心を寄せている咲良が佑真に気持ちを伝えたことで少しずつ2人の関係が変化してゆく。ドラマ版では咲良役はNHK連続テレビ小説『おちょやん』でヒロインの弟・ヨシオを演じた倉悠貴、佑真には『恋に無駄口』などの水沢林太郎という注目の若手俳優が演じている。
そして、ドラマ版の脚本は「キングオブコント2021」で優勝した空気階段の水川かたまりが初のBLドラマを手がけ、咲良と佑真の担任・石野をシソンヌのじろうが演じている。お笑い芸人が携わるとどうしても、クオリティはどうなんだろうと訝しがる人がいるのじゃないかと思うが、心配は無用。2人ともさすがコント師、芝居のことを熟知していて唸らせる。
映画で展開された人気漫画家・じゃのめによるBLコミック『君のことだけ見ていたい』とはまた少し雰囲気が違い、それでいてドラマはドラマでとても魅力があるのだ。コミックでの咲良は華奢で可憐な印象だが、ドラマでの倉悠貴演じる咲良は普通の男の子という印象。佑真はハキハキした陽キャな男子で水沢林太郎演じる佑真もイメージのままだが、そんな佑真のほうが咲良のほうに振り回されているのがなんともかわいい。咲良にキスされて戸惑いを隠せない姿にキュンキュンさせられてしまう。倉も水沢も瑞々しくこまやかな演技で表現し、見るものの心を離さない。
「亜麻色の髪の乙女」が効果的、2人が愛おしくなる
また、ドラマは夏を感じさせるシーンも多く登場。2人でトマトを栽培している屋上、毎日バイバイしたり、石けりをしたりする海沿い、キャンプでの怪談などなど、夏らしくて青春らしくてとっても気持ちがまぶしいと感じる場面が満載だ。だからこそ、これが永遠に続くのかわからない青春の1ページにも思えて、高まる感情と同時にどこか切なさも覚える。ここも劇中コミックとはまた違った味わいが感じられるところだ。咲良がピアノで弾くドビュッシーの「亜麻色の髪の乙女」の旋律も繊細で優しくて効果的で、2人のことが愛おしくてたまらない気持ちになってくる。
・『君のことだけ見ていたい』の咲良と佑真、その他の写真を見る!
『メタモルフォーゼの縁側』では、うららと雪が必死に応援していた『君のことだけ見ていたい』の咲良と佑真。ドラマでも彼らの恋が少しずつ形になっていくようすに、どうか幸せになりますようにと願わずにいられなくなるはず。『メタモルフォーゼの縁側』を見た方はもちろん、未見の方もぜひ見てみては? (文:牧島史佳/BLライター)
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