山上徹也容疑者をモデルに制作された映画『REVOLUTION+1』の鹿児島県での上映中止が話題になっているが、同じように政治的な問題に斬り込み公開見送りの危機に瀕するなど物議を醸した『主戦場』のデジタル配信が開始された。
・公開から3年、再び映画館が“主戦場”に! いまだ燻り続ける慰安婦論争の“あるカラクリ”を明らかに
「しんゆり映画祭」では上映が中止されそうになる騒動も
本作は、日系アメリカ人の監ミキ・デザキ監督による、慰安婦問題に迫るドキュメンタリー映画。2019年4月の公開後、出演者の一部がデザキ監督と配給会社の東風に対して、映画の上映禁止や計1,300万円の損害賠償を求め裁判を起こし、その影響から2019年秋の「KAWASAKI しんゆり映画祭」で本作の上映が中止されそうになるなどの騒動に発展した。
本作が初映画監督作品であるドキュメンタリー映像作家・デザキ監督は、コメディビデオや日本・アメリカの差別問題をテーマに映像作品を数多く制作、公開してきたYouTuberでもある。慰安婦問題に好奇心を掻き立てられたデザキ監督は、「ネトウヨ」からの度重なる脅迫にも臆せず、問題の渦中に自ら飛び込んでいく。
慰安婦たちは「性奴隷」だったのか、「強制連行」は本当にあったのか、なぜ元慰安婦たちの証言はブレるのか、そして、日本政府の謝罪と法的責任とは…? 次々と浮上する疑問を胸に、櫻井よしこ、ケント・ギルバート、杉田水脈、など、日・米・韓のこの論争の中心人物たちを訪ね回ったデザキ監督。
デザキ監督はおびただしい量のニュース映像と記事の検証と分析を織り込み、イデオロギー的にも激しく対立する主張の数々を小気味よく反証させ合いながら、精緻かつスタイリッシュに一本のドキュメンタリーに凝縮していく。こうして出来上がった本作は、ハーバード大学、スタンフォード大学など世界50以上の大学や学会で上映され学術的にも高く評価された。
これまで未ソフト化、未配信のため、再上映やDVD化、配信を熱望する声がたびたび上がっていた本作のデジタル配信が9月29日より開始。このニュースにデザキ監督は「いよいよ! 『主戦場』のデジタル配信を開始します! 長い間お待たせして申し訳ありませんでした! ご自宅で映画を見て、お友だちやご家族と共有できるようになると思うと、とても楽しみです。また、3年にわたる訴訟も今年1月の一審に続き、9 月の控訴審でも勝訴しましたので、安心してご覧ください。今後ともよろしくお願いします」と喜びのコメントを寄せている。
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