10月4日~10日は、世界宇宙週間。1957年10月4日、ソビエト連邦により世界初の人工衛星「スプートニク1号」が打ち上げられ、またその10年後の1967年10月10日に「宇宙法」が施行されたことにちなむ記念日だ。
ところで、人間が宇宙へ行くより前に、宇宙へ飛び立った動物がいることをご存知だろうか。それは、犬。今日は、そんな初の宇宙飛行犬を題材にした作品を紹介したい。
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宇宙飛行犬「ライカ」と現代の野良犬を重ねた『犬は歌わない』
1957年、1匹の犬が宇宙へ飛び立った。ソ連の人工衛星「スプートニク2号」に乗せられた犬「ライカ」は、動物として初めて地球軌道を周回し、そして2度と戻ってこなかった。
都市伝説によると、ライカは魂となって地球に戻り、今も彼女の子孫たちとモスクワの街を彷徨っているという。本作は、現代のモスクワで生きる野良犬に、元々は野良犬だったライカを重ねて描いたドキュメンタリーだ。
モスクワの人々は比較的野良犬に寛容なようで、近くにいてもむやみに追い払うことはない。それどころか、水を与えたり、餌を与えたりする人もいる。路上での暮らしは過酷ではあるが、野良犬たちの生活は自由だ。
野良犬が街を彷徨う様子をしばらく追った後、映像は切り替わり、スプートニク2号のために訓練を受ける犬たちの実際の様子が映し出される。その中には、「ライカ」の姿も。素早い速度で回転する機械に乗せられる姿や、宇宙船に乗るために手術で色々な管を取り付けられる姿が映されるのだが、なんとも痛ましい。
しかしその一方で挿入される現代の映像では、野良犬が“遊び”で猫を噛み殺すショッキングなシーンも。現代の犬たちの姿と、スプートニク2号に乗せられた犬たちの映像を交互に映し出すことで、私たちが一方的な目線で犬の幸せを決めること自体がそもそもエゴなのかもしれない…と気付かされる。
本作は、カメラの位置が低く“犬目線”で撮影されている。監督のエルザ・クレムザーとレヴィン・ペーターによると、撮影は4年もの時間をかけて行われたようだ。野良犬のありのままの姿を至近距離で捉えており、気持ちまで犬に近づいたような感覚になれる作品だ。(Y)
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