「エンタメで安全保障を!」新宿区長選の異色候補予定者を直撃

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よだかれん
高田馬場に構える選挙事務所の近く立つよだかれん
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日本初のトランスジェンダー区長は誕生するか?

【日本映画界の問題点を探る/番外編/新宿を世界のエンタメ中心地に! 1】「エンタメも安全保障になる」と訴えるのは、日本初のトランスジェンダー区長を目指して戦っているよだかれん。11月13日に投開票が行われる新宿区長選に向けて、自身の声を届けるために各地を走り回っている。現在は行政書士の仕事と両立させながら選挙活動を続けているが、以前はミュージカル俳優やショーパブダンサーとしても活躍していたという異色の経歴を持つ。自らがエンタメの素晴らしさを体感してきたからこそ、冒頭の発言にも説得力がある。

性的シーンで震える生身の俳優たち、守るための取り組みは始まったばかり

「たとえば、池袋といえば昔はワルの集まりみたいなイメージがありましたが、再開発した西口公園に野外劇場を作ったことでいろんな芸術が生まれる場所に変わりました。そんなふうに、エンタメにはすごいパワーがあるので、新宿も若者が犯罪に巻き込まれてしまう悲しい街ではなくて、エンタメの街に生まれ変わらせたいと考えています。本来、新宿というのはエンタメの象徴であり、日本で一番、元気もポテンシャルもある場所だと思うので、もっと新宿の良さを生かしていきたい。アーティストたちのパフォーマンスに街を開放したり、ステージを作ったり、エンタメの力を使ってみなさんがワクワクするような新宿にしたいです」

コロナ禍で顕著になったことの一つに、芸術に対する理解と支援が日本は海外に比べて不十分であることが挙げられる。このままでは日本の芸術における未来に不安しかないが、よだもまた同じ危機感を抱いていると話す。

「文化芸術やエンタメを趣味程度に扱い、大事にしないことがいかに国を衰退させてしまうかということをもっと知ってもらいたいんです。いま私たちがこんなに貧しい国になってしまった要因の一つは、そこにあるのではないかな、と。世界の名だたる監督が日本で撮影できるように呼び込んだり、来日スターたちのイベントを積極的に開催したりするだけでも日本への注目度は上がり、来訪者も増えるので、文化芸術やエンタメを盛り上げることは必然的に国の経済発展にも繋がっていくはずです。その一方で、それに伴う規制などによって一部の住民から不満の声が上がることもあるかもしれません。でも、そこできちんと説明責任を果たすのが区長の務めだと思います」

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以前から新宿でも芸術祭などを開催しているというが、正直なところあまり話題になっていないと嘆く。だからこそ、よだにはさまざまなアイディアがあるという。

「新宿区には本庁舎や出張所をはじめ、歴史博物館、美術館、日本庭園などいろんなスペースがあるので、そういうところをイベントや展示にも活用できたらいいかなと思っています。あとは、地域振興課と協力して新宿をロケ地とした映画やドラマの撮影をしたり、『天気の子』のようにアニメで新宿を描いてもらったりするのもいいですよね。議会ではエンタメに対する理解度はまだまだ低いですが、新宿からいい作品が生まれればみなさんにも喜んでもらえるはずなので、私が区長になったら作り手の方々の後押しをしつつ、本気で新宿をエンタメの街にしたいと考えています」

よだは「外交面においても、武器に何百億も使って安全保障するのではなく、文化芸術にも安全保障の力があることに気づくべき」と訴える。

その成功例の一つに、戦後のアメリカが行った戦略がある。テレビドラマをはじめとするエンタメ作品を日本の人々に浸透させることによって、日本人は豊かなアメリカ文化への憧れと親しみを抱くこととなった。

「現在、新宿では区民の約1割が外国籍の方です。もし、そういう方々が母国に帰ったときに『日本は最高だったよ』と言っていただくだけでも大きな価値があります。そして、それが口コミのように広がっていき、結果的には安全保障にも繋がると私は思っています。逆に『日本は最悪だった』という評判が広まってしまえば、何かあったときに誰も守ってくれません。そういう意味でも、海外の方が多い新宿には大きな役割があると感じています。ただ、現段階ではその多様性を生かしきれていないので、みなさんの力を借りながら新宿をもっと楽しい街にしていきたいです」【2 自称女優では母の保証人にもなれない!?(10月29日掲載予定)】に続く。 (text:志村昌美/photo:小川拓洋)

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