パリ、ロンドン、NYに負けない街に! 可能性を秘めたエンタメの街・新宿をもっと盛り上げたい

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よだかれん
「多様性は、パワーだ!」というスローガンを掲げるよだかれん
よだかれん

わずか28%の投票率で決まった前回の区長選挙、5〜10%のアップに希望を託す

【日本映画界の問題点を探る/番外編/新宿を世界のエンタメ中心地に! 4】日本初のトランスジェンダー区長を目指して戦っているよだかれん。新宿区長選に向けて、自身の声を届けるために各地を走り回っている。現在は行政書士の仕事と両立させながら選挙活動を続けているが、以前はミュージカル俳優やショーパブダンサーとしても活躍していたという異色の経歴を持つ。

【日本映画界の問題点を探る/番外編/新宿を世界のエンタメ中心地に! 3】「すごいのが来た」と騒ぎに〜

いよいよ11月13日に投開票を控えた新宿区長選だが、前回2018年の投票率は28.24%と低く、20代にいたってはなんと12.18%という驚きの数字が出ている。住民たちにとって大事な未来を託すはずの選挙が一握りの人たちの意思によって決定してしまうことに危機感を抱くべきだが、「現状は厳しいものの、5〜10%投票率が上がると希望が出てくる」と話すのは、現職に挑むよだかれん。

「新宿は“多様性の街”というイメージがあるかもしれませんが、実は良くも悪くも意外と保守的な層が厚い区。多様性のある土壌だから、多様性の象徴である私が出てきたという構造のように見られがちですが、実はそういうわけではないんです。実際、もし私が区長に選ばれたら、議会はアウェイになると思います。でも、私は区議会議員の経験があり、与党も野党も関係なく信頼関係を築いてきた自信はあるので、これまでの実績を土台に、調和のとれた新宿区を生み出していけると考えています。保守と多様性をミックスして、うまくギャップを埋められたらきっと面白いことになるはずです」

区長になったら実現させたいことがたくさんあると話すよだは、目を輝かせながら続ける。

「G7のなかで同性婚を認めていないのは日本だけですが、多様性のある家族を認めないと経済が衰退していくのは明々白々。パートナーシップ制度をかたくなに導入しない新宿(※)が、どんどん落ち込んでいる状況と似ているようにも感じています。そのほかに、推奨していきたいのは里親制度。いまの日本には、親からの愛情に恵まれない子どもたちが4万人以上いると言われています。そのうちの8割が里親家庭で育てられることが望ましいですが、実際は8割が施設で、2割がやっと里親家庭に受け入れられているという状況です。以前、同性カップルが里親認定を受けたものの、民法上の親族に当たらないため、区立住宅に入れないという問題が起きたこともありました。それはおかしいと指摘し、条例を変えてもらったことがありますが、伝統的な家族だけではなく、いろんな形の家族が幸せに暮らせるような新宿区にしたいと思っています」
※港区、文京区、渋谷区など東京都の16市区町村(25.8%)がパートナーシップ制度を導入済み。

よだかれん

よだが掲げる「多様性は、パワーだ!」というスローガンと共に、メインテーマとしているのが「ジェンダー平等」。まだまだ男性優位な日本社会に、真正面から立ち向かっていこうとする決意を感じる。

「本来、男性と女性は半々いるので、どの現場でも同じように半分ずつの割合でいてもいいはずですが、そうではないのが現実。女性たちが何十年戦っても一向に進まないところがあるので、ジェンダー平等を実現させるためには、LGBTQの私たちがブルドーザーのように入って、地ならしする役割を担ってもいいのではないかとさえ感じています。多様性の街と言われる新宿で多様性の象徴であるトランスジェンダーが区長になったら、私自身にも想像がつかないような影響が自然に起こるような気がします」

多様性だけではなく、新宿には映画館や劇場など、“エンタメの土壌”も十分ある。これをもっとうまく活用していけば、世界に発信していけるだけの大きな可能性は秘めているはずだ。そして、その強みをうまく取り入れていけるのは、ショービジネスの世界でエンタメの重要性を肌身で感じてきたよだにしかできないことではないだろうか。

「エンタメには怒りのパワーを笑いに変えてくれる役割もあるので、エンタメ業界にはもっと元気になって欲しいですね。有権者の方からも『新宿はパリ、ロンドン、ニューヨークに負けない街になれるはずだったのに、こんなつまらない街になってしまった。何とかして欲しい』と言われたこともありました。おそらく私のようなトランスジェンダーが区長になるだけでも、『新宿らしいね』と全体の機運が高まっていくのではないかなと感じているので、エンタメ業界と一緒に盛り上げていけたらいいなと思っています」(【日本映画界の問題点を探る/番外編/新宿を世界のエンタメ中心地に!】完)(text:志村昌美/photo:小川拓洋)

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