女優の小雪が11月5日、主演映画『桜色の風が咲く』の公開記念舞台あいさつに田中偉登、吉沢悠、本作モデルとなった東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野教授福島智教授、松本准平監督、結城崇史プロデューサーと共に登壇。本作にまつわるエピソードを展開した。
・田中偉登、小雪の意外な印象明かす「“小雪さん”というより“お母ちゃん”の方がしっくりくる」
福島教授、田中偉登にエール「女性には気をつけろ!」
同作は、9歳で失明、18歳で聴力を失いながらも世界で初めて盲ろう者の大学教授となり、2003年TIME誌による「アジアの英雄」に選出され、東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野教授として教鞭をとっている福島智(ふくしま・さとし)さんの幼少期から大学受験までを描く。主演を務めるのは、自身も3人の子供を育てながら活躍する小雪。福島の青年期を演じるのはめざましい活躍の田中偉登(たなかたけと)。
福島令子さん役の小雪は12年ぶりの映画主演。本作への参加に「すごく幸せだと感じる」と感慨無量で「心の中で“この作品は世に伝えていかなければならないものだ”という使命のようなものを感じて、その想いに突き動かされて参加させていただきました」と心境を明かした。
撮影中は「想像を絶する苦労の末に、福島先生は新しい世界への道を切り拓いて希望を与えてくれた。そのエネルギーの欠片を感じながら撮影に臨んでいました」と回想し「作品を通して、先生の力強いエネルギーを感じていただけたら」と観客に呼び掛けた。
福島智さん役の田中は「タイトルにちなんで…今日は髪の毛にちょっと桜色を入れてきました!」と短髪を桜色に染めたことを報告しながら「目が見えなくなり、耳が聞こえなくなる孤独感と絶望だけではなく、楽しかったことやご家族との会話など、福島先生が感じたとおりのことを一滴もこぼすことなく伝えることが僕の使命だと思っていました」と演じる上での心構えを振り返っていた。
本作のモデルである福島教授は「自分の人生が映画になるのは不思議な感じ」と驚きつつ、母・令子さんご本人の反応については「美人過ぎる小雪さんが自分を演じるなんて気恥ずかしいと、配役に疑問を呈していました」と報告して温かい笑いを生んでいた。
今回特別に、壇上で小雪と田中による指点字のデモンストレーションも実施。まずは小雪から、役作りのために取得した指点字で福島教授の指に「智(さとし)先生ありがとう」と言葉を伝えるも、本人は「間違えたっ!」と照れ笑い。しかし福島教授にはしっかりと伝わっており、「いつのまにかおふくろの背が伸びたのかと思った」とジョーク交じりに太鼓判を押していた。
続いては田中。指点字で「僕が智(さとし)やで」と思いを込めるも、福島教授からは「何を打ったのかさっぱりわかりません!」というまさかの返答が。もちろんこれは福島教授のユーモアで、メッセージはしっかりと伝わった模様。それでも「もうちょっとスムーズにやれるように頑張ってほしいなあ」と福島教授から今後に期待するアドバイスも受けていた。
そして福島教授は小雪と田中にメッセージ。福島教授は小雪に「おふくろ、いつまでも元気で!自分らしい生き方で人生を切り拓いていってくれよな!」とエール。田中には「俺は40年後のお前だ! コーラやビールを飲み過ぎるな! たとえ20代でも腹が出るぞ! そしてもう一つ、女性に気をつけろ! 男と言うのは単純でバカ。それに対して女性は複雑で賢い。くれぐれも女性には気をつけるように」と笑い交じりの人生訓を送った。
最後に主演の小雪は「指点字の世界がもっと広がってほしいと思います。私たちが指点字をできるようになったら、諦めていた世界が広がるはず。この映画は一つの試みの第一歩なので、この波紋が世界中に広がっていけばと願っています」と語った。
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