城定秀夫監督による傷ついた男女の再生の物語
作家・佐藤泰志が、自身の出身地である函館ではなく関東近郊を舞台に描いた短編小説「夜、鳥たちが啼く」が映画化。12月9日より公開される。
内に秘めた破壊衝動と葛藤する売れない小説家の主人公・慎一を演じるのは、多彩な役柄で観客を魅了し続けてきた実力派俳優・山田裕貴。そして、離婚を機に、息子とともに慎一のもとに身を寄せるヒロイン・裕子を、近年、気鋭の監督作品への出演が絶えない演技派女優・松本まりかが演じる。他者との深い関わりを避けて生きることを望みながらも、1人では生きていけない。だからこそ人生を照らす仄かな光を見出そうともがく生身の人間の姿を、静謐かつ鮮烈な熱演でスクリーンに焼き付けた。
・松本まりかと山田裕貴が半同居!? 2人の関係は少しずつ変化を見せ…
今回解禁されたのは、慎一と裕子の2人が“いびつな「半同居」生活”から一歩踏み出したその瞬間を切り取った1シーン。これまで、お互いに惹かれあいながらも、他者と深く関わることを恐れてあえて距離をとっていた2人であったが、「半同居」生活という新たな生活スタイルの中で時間をかけ、お互いの似た境遇を知り、傷ついた過去に触れ、もがき苦しみながらも必死に生きていこうとする姿に寄り添おうと自然と求め合うようになっていく…。2人の間に流れるのは、寂しさと孤独を感じさせながらも、相手を心の底から思いやるような優しさ溢れる濃密な時間だ。傷ついた男女が仄かな希望に向かって歩み始める、そんな再生の瞬間とも言うべき一瞬を映し出している。
山田と松本、共に演技巧者として多くの作品で多彩な役柄を披露してきた2人は、TVドラマ・映画を通して本作が実に5度目の共演にあたる。既に強い信頼関係があったために生まれた2人の間の空気感は、慎一と裕子を演じる上で重要な役割を果たしたそう。
松本は、山田とのこれまでにない濃い時間を描いた芝居を振り返り「ここまでの心のやりとりを演じるのは初めてでした。すごく信頼している俳優さんなので山田さんで良かったと思っています」と振り返っている。
山田も、「慎一は嫉妬深いだけでなく、自分のことを見ていて欲しい、愛がほしい、そんな男にみえたらいいのかなと。アキラと裕子の会話も重要だと思うから、そこも丁寧に演じるよう心掛けました」と自身が演じる役柄について明かしており、「演じ方の微妙な違いで物語が変わってしまう」と城定監督が明かすほど繊細な作品だからこそ、熱心にディスカッションを重ねながら芝居を作り上げていったという。
鬼才・城定秀夫監督が、主演・山田裕貴と共演に松本まりかを迎え、傷ついた者たちが、ほんの少しだけ前を向いて小さな一歩を踏み出そうとする。そんな、ささやかだけれど輝かしい一瞬を、どこまでも優しく、そして美しい筆致で描き切っている。
『夜、鳥たちが啼く』は12月9日より公開。
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