(…前編より続く)
○東宝の圧勝劇!
2015年も観客動員数、興行収入で他を圧倒した東宝。2015年1月3日〜12月19日までの週末動員数ランキング(計51週)のうち、21週でトップをとった。次位はディズニーの13週、以下、ワーナー・ブラザーズ、松竹、東宝東和=4週、ソニー・ピクチャーズ=3週、東映、ショウゲート=1週。
東宝の強さは何といっても層の厚さ。これだけトップをとっているが、同一作品では『映画ドラえもん のび太の宇宙英雄記(スペースヒーローズ)』の3週が最高。それだけコンスタントに多くの作品が注目を集め、結果を出しているといえる。さらに、その裏側には、作品の内容による公開時期の選定など、緻密な計算がされていることが垣間見える。
ちなみに2015年度は34作品を配給し、29本が興収10億超えという安定感抜群の成績。やや小粒な作品が多かった印象だったが、結果をみるとやはり他の追随を許さない数字だ。
・【週末シネマリサーチ】前編/『ラブライブ!』の衝撃に『ガンダム』の潜在能力、2015年週末動員ランキングを総まとめ!
▲やはり強かった『妖怪ウォッチ』!
『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』公開で沸いた2015年12月12日-13日のランキング。結果的には『映画 妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』が初週土日動員97万4457人で、2015年に公開された作品の中で、ナンバー1の週末土日動員数を記録した。2014年も『映画 妖怪ウォッチ 誕生の秘密だニャン!』が週末土日動員148万4916人でトップだったため、2年連続で栄冠に輝いた。
『ラブライブ!The School Idol Movie』のところでも記したが、「数量限定来場者プレゼント」は非常に効果が高い。鑑賞動機のアンケートでも「作品が好きだから」に次いで「入場者プレゼントのメダルが欲しかったから」という意見が3割近くを占めた。アニメ作品はこういった特典がつくことが多く、上映館数だけでは数字が読めない怖さがある。
ちなみに週末土日動員数第2位は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(ディズニー)の80万258人、3位が『劇場版 ドラゴンボールZ 復活の「F」』(東映)の71万5727人、4位が『名探偵コナン 業火の向日葵』(東宝)の68万8623人、5位が『ジュラシック・ワールド』(東宝東和)2週目の61万1308人だった。
△『ガンダム』の潜在能力
累計1000万部を誇る大ヒットコミックをアニメ化した『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』シリーズ。2月28日より、全国13館での2週間限定イベント上映がスタートすると、初週土日動員5万6397人を記録した。1館あたりの平均動員数は4338人。前述の『ラブライブ!The School Idol Movie』の2081人の2倍以上という数字だ。
第2弾も10月31日に公開されると4万2119人を動員。そのハイスクリーンアベレージは、改めて『ガンダム』という作品の潜在能力の高さを証明した。また初週土日動員数という意味では“2週間限定”ということも公開日に足を運ぶための要因にはなる。
△連続Vは『ベイマックス』
東宝とは逆にディズニーはロングランヒットが特徴。全51週のうち、13週でトップをとったが、首位に輝いた作品は『ベイマックス』(6週)、『シンデレラ』(5週)、『トゥモローランド』(1週)、『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(1週)の4作品。良作が口コミにより連荘モードに入るというスタイルか。
ちなみに、2014年の大ヒット『アナと雪の女王』は5週連続Vのあと『名探偵コナン 異次元の狙撃手(スナイパー)』(東宝)に1週間首位の座を明け渡したが、その後V10を達成。老若男女と幅広い層を対象にしているディズニーらしい数字の動きだ。(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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