追悼/日本編 青山真治、石井隆ら2022年に亡くなった映画監督を偲ぶ

#吉田喜重#大森一樹#小林政広#崔洋一#恩地日出夫#澤田幸弘#石井隆#青山真治

青山真治 榮倉奈々
三浦春馬主演『東京公園』完成披露記者会見にて(2011年)/青山真治監督(左)と榮倉奈々(右)
青山真治 榮倉奈々
青山真治

昭和、平成、令和の日本映画を支えてくれた映画監督たち。2022年に惜しまれつつも永遠の眠りについた才能を紹介することで、追悼の意を表したい。

追悼/日本編 宝田明、島田陽子ら2022年に亡くなった映画俳優を偲ぶ

追悼/海外編 2022年に亡くなった映画監督・スタッフを偲ぶ

2004年から日本映画監督協会理事長を務めた崔洋一監督も永遠の眠りに

恩地日出夫
1月20日/享年88歳
東宝に入社し、1960年に『若い狼』で監督デビューし、作品は東宝ヌーベルバーグと呼ばれた。その後は『あこがれ』(66)、『伊豆の踊り子』(67)など青春映画を多く手がけ、70年代はTVドラマも演出。「傷だらけの天使」(74~75)では『一度見たら忘れられない強烈なオープニングの演出も担当した。

青山真治

青山真治

『共喰い』で第18回釜山国際映画祭に参加した時の青山真治監督(右)

3月21日/享年57歳
1995年にVシネマ『教科書にないッ!』で監督デビューし、翌年に浅野忠信主演の『Helpless』で初の長編映画を手掛ける。2000年、『EUREKA』がカンヌ国際映画祭で国際評価連盟賞、エキュメニック賞を受賞し、同作のノベライズ小説で三島由紀夫賞を受賞。「グレンギャリー・グレン・ロス」(11)や「フェードル」(15)など舞台の演出も手がけ、小説やエッセイなど著書も多数。2011年、三浦春馬主演の『東京公園』がロカルノ国際映画祭金豹審査員特別賞受賞。2013年に菅田将暉主演の『共喰い』を監督。2021年春頃から闘病を続けたが、3月21日に頸部食道がんのため亡くなる。多部未華子主演の『空に住む』(20)が遺作となった。

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石井隆

石井隆

5月22日/享年75歳
1970年代に劇画漫画家としてデビューし、自作「天使のはらわた」のシリーズ映画化に際して、自ら脚色して脚本家デビュー。1988年に『天使のはらわた 赤い眩暈』で監督デビューし、『死んでもいい』(92)、『ヌードの夜』(93)、『GONIN』シリーズなどを手がけた。

小林政広

小林政広

2009年『春との旅』記者会見にて/左から美保純、小林政広監督、仲代達矢、徳永えり

8月20日/享年68歳
1970年代に林ヒロシ名義でフォークシンガーとして活動した後、脚本家としてドラマ、映画を執筆し、1996年に『CLOSING TIME』で映画監督デビュー。緒形拳出演の『KOROSHI/ 殺し』(2000)、仲代達矢主演で『春との旅』(10)『日本の悲劇』(13)『海辺のリア』(16)などを監督。

澤田幸弘
9月21日/享年89歳
1970年に渡哲也主演の『斬り込み』で監督デビューし、原田芳雄主演の『反逆のメロディー』(70)、松田優作主演の『あばよダチ公』(74)などを監督。1970年代からは「太陽にほえろ!」「大都会」シリーズ、「探偵物語」、「西部警察」シリーズなどの監督も務めた。

大森一樹

大森一樹

2011年『世界のどこにでもある、場所』トークショーにて/左から大森一樹監督、斉藤由貴、かしぶち哲朗

11月12日/享年70歳
大学時代に16ミリ映画の自主制作『暗くなるまで待てない!』で注目され、1978年、前年に城戸賞を受賞した自身の脚本の映画化『オレンジロード急行』で商業映画デビュー。大学医学部出身の体験をもとにした『ヒポクラテスたち』(80)、村上春樹の原作小説を映画化した『風の歌を聴け』(81)、吉川晃司のデビュー作『すかんぴんウォーク』(84)のほか、『恋する女たち』(86)、『トットチャンネル』(87)や『ゴジラvsビオランテ』(89)、『ゴジラvsキングギドラ』(91)、SMAPが出演した『シュート!』(94)などを手がける。2005年から大阪芸術大学芸術学部映像学科・同大学医院教授を務めた。

崔洋一

崔洋一

11月27日/享年73歳
大島渚監督作などの助監督を経て、1981年にTVドラマ「プロハンター」で監督デビュー。1983年に内田裕也主演の『十階のモスキート』で長編映画監督デビュー。1993年に岸谷五朗主演の『月はどっちに出ている』で数々の映画賞を受賞。『マークスの山』(95)、『刑務所の中』(02)、ビートたけし主演の『血と骨』(04)などを監督。1999年には俳優として大島渚監督の『御法度』で近藤勇を演じた。松山ケンイチ主演の『カムイ外伝』(09)が遺作となった。

吉田喜重
12月8日89歳
木下恵介監督などの助監督を経て、1960年に『ろくでなし』で監督デビュー。1962年、のちに妻となる岡田茉莉子主演の『秋津温泉』、『嵐を呼ぶ十八人』(63)などを手がけ、大島渚、篠田正浩と共に1960年代前半の松竹ヌーヴェルヴァーグの旗手となった。松竹から独立して『エロス+虐殺』(69)、『煉獄エロイカ』(70)、『戒厳令』(73)を監督。その後は「美の美」などTVドキュメンタリーを手がけ、1977年には756本のホームランを打って国民栄誉賞に輝いた王貞治をテーマにしたドキュメンタリー『BIG-1 王貞治』を監督。
1986年に『人間の約束』、1988年に松田優作と田中裕子が出演し、日本の鎌倉時代を舞台にした『嵐が丘』監督。遺作は岡田茉莉子、田中好子、一色紗英が出演した『鏡の女たち』(02)。