(…前編より続く)
〇【6位予想】『黒崎くんの言いなりになんてならない』
同名人気コミックを、人気アイドルグループ・Sexy Zoneの中島健人と、ヌクメン代表格の千葉雄大、小松菜奈で実写映画化したラブストーリー。ドSの黒王子に「絶対服従」を言い渡されてしまった女子高性の学園生活を描く。
若い世代の女子に大人気の中島と千葉。さらにティーンに大人気の小松という旬なトリオ。中島は主演映画『銀の匙 Silver Spoon』(14年/東宝)が全国285スクリーンで公開され、初週土日9万9000人。『劇場版 BAD BOYS J-最後に守るもの-』(13年/ショウゲート)が全国90スクリーンながら初週土日動員5万8000人を集めた実績がある。
上映館数は約160館。2月16日に行われた公開直前イベントでは、S字に敷かれたドSレッドカーペットの上を3人が闊歩。大歓声を浴び、人気の高さを証明していた。ターゲットは10〜20代を中心とした女子と分かりやすく、プロモーションにもブレがない。7万-8万人の動員は十分見込めるだろう。
▲【8位予想】『女が眠る時』
香港のウェイン・ワン監督がビートたけし、西島秀俊、忽那汐里を迎え、男女の機微を独特の視点で描いた物語。本作は第66回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に正式出品された。
ビートたけしと西島の競演といえば『劇場版 MOZU』(15年/東宝)が思い出される。全国322スクリーンで公開され、初週土日動員は17万人。こちらは人気シリーズの完結編ということで大きな数字が出たが、本作とはやや趣が違う作品だ。
上映館数は約200館。本作のイメージソングは、昨年末に6年ぶりのオリジナルアルバムを発売した中森明菜の「FIXER」。アルバムのタイトルにもなっている曲で、解禁時には大きく報道された。実力派俳優の競演ということで注目度は高いが、やや客層を選びそうな作品。どこまで多くの層に訴求できるかがカギか。
△【9位予想】『ヘイトフル・エイト』
日本でも高い人気を誇るクエンティン・タランティーノ監督最新作。ワケありの8人の男女が、雪嵐のために山小屋に閉じ込められてしまったところから起こる殺人事件の真相を描いた物語。サミュエル・L・ジャクソン、カート・ラッセル、ティム・ロスなどタランティーノ監督ゆかりの俳優たちが顔をそろえる。
タランティーノ監督の前作『ジャンゴ 繋がれざる者』(13年/ソニー・ピクチャーズ)は全国148スクリーンで公開され、初週土日動員5万人という結果を残した。本作は約120館での上映。2月21日には“ヘイトフル”にかけてタレントの矢口真里、お笑いコンビ品川庄司がイベントに出席。矢口が不倫騒動の渦中にあるタレントのベッキーにエールを送ったことが大きく報道された。『ジャンゴ〜』と比較しても大きな遜色はなく、同等のスタートを切っても不思議ではない。
【注目シネマ】
*『珍遊記』
週刊少年ジャンプに掲載されていた漫☆画太郎のギャグ漫画「珍遊記-太郎とゆかいな仲間たち-」を、映画『魁!!クロマティ高校 THE MOVIE』などの山口雄大監督が実写映画化。主演は松山ケンイチが務める。
過去にも「実写化不可能」という宣伝文句が使われる作品はあったが、実写化不可能というより「本当に実写化するの?」という言葉がしっくるくる作品。松山のはじけっぷりが特報動画などでも話題になっている。東映が実写映画を2本同日公開。こちらは50館弱と公開規模は小さいが、インパクトでは『女が眠る時』以上であることは間違いないだろう。どこまで健闘するか……注目だ。(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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