“善良な人々”が虐殺された日本の負の歴史をつまびらかに
オウム信者たちを被写体とした『A』(97年)、『A2』(01年)、佐村河内守のゴーストライター問題を追った『FAKE』などのドキュメンタリーを手がけ、日常に潜むグレーゾーンに光を当ててきた森達也監督。その森監督が初めて挑む劇映画のタイトルが、『福田村事件』に決定した。
・“善良な人々”を虐殺…ドキュメンタリー作家・森達也が日本の負の歴史描く
森監督が選んだ題材は、1923年9月1日に発生した関東大震災、その発災から5日後、千葉県福田村で起こった実際の虐殺事件だ。行商団9人が地震後の混乱の中で殺された。彼らはなぜ殺されたのか、村人たちはなぜ彼らを殺したのか。関東大震災時に各地で起きた「朝鮮人虐殺」、そして朝鮮人に限らず“善良な人々”が虐殺された日本の負の歴史をつまびらかにする。
荒井晴彦が企画し、脚本は佐伯俊道、井上淳一、荒井の3名が担当。主演は現在の日本映画界で圧倒的な存在感を放つ井浦新。共演は、荒井が脚本を担当した映画『幼な子われらに生まれ』(17年)で第41回山路ふみ子女優賞、第42回報知映画賞ほか数々の助演女優賞を獲得した田中麗奈。
物語の舞台となるのは1923年春、澤田智一は教師をしていた日本統治下の京城を離れ、妻の静子と共に故郷の福田村に帰ってくる。智一は、日本軍が朝鮮で犯した虐殺事件の目撃者であった。しかし、妻の静子にも、その事実を隠していた。
その同じころ、行商団一行が関東地方を目指して香川を出発する。9月1日に関東地方を襲った大地震、多くの人々はなす術もなく、流言飛語が飛び交う中で、大混乱に陥る。
そして運命の9月6日、行商団の15名は次なる行商の地に向かうために利根川の渡し場に向かう。支配人と渡し守の小さな口論に端を発した行き違いが、興奮した村民の集団心理に火をつけ、阿鼻叫喚のなかで、後に歴史に葬られる大虐殺を引き起こしてしまう。
タイトル決定にあわせて、クランクイン時の井浦、田中、そして森監督の3ショット写真も公開された。
『福田村事件』は2023年公開予定。
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