1月22日は「カレーの日」。1982年に社団法人全国学校栄養士協議会が、子どもたちの好きなカレーを学校給食メニューに提供するよう呼びかけたことにちなんで制定された記念日だ。カレーはもはや日本流にアレンジされて国民食的存在となっているが、今回はカレーの本場インド発のカレー映画(?)をご紹介したい。
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人種も階級も宗教も問わず一緒にカレーを食べる『聖者たちの食卓』
『聖者たちの食卓』は、セリフが一切ないにもかかわらず非常に秀逸なドキュメンタリー映画だ。舞台は、インドにあるシク教の総本山「黄金寺院」。ここではおよそ600年も前から、毎日10万食もの豆カレーが巡礼者や旅行者のために無料で提供されている。
誰でもこの食事の恩恵にあずかることができ、宗教も人種も性別も階級も職業も関係なく、そこにいる全ての人(一度の食事で5,000人)が同じ場所に隣り合って座り一緒に食事を取る。このサービスが始まった600年前のインドでは、異なる宗教や階層の人々が同じ場所で食事をするなどありえない社会環境だったにも関わらず、ここでは昔からずっとこのスタイルを貫いているそうだ。10万食という途方もない量のカレー作りを支えているのは、大勢の人々による無償奉仕である。この作品は、黄金寺院での聖なる食卓のメイキングを収めたドキュメンタリーなのだ。
カメラがそのままあなたの目になる臨場感!
ジャガイモの収穫やニンニクの皮むきに始まり、調理、給仕、食器洗浄、床掃除などの工程をおびただしい数の人がテキパキとこなしていく姿が時系列に淡々と映し出されていく。大人の目線よりやや低めのアングルの長回しが大半を占め、それが功を奏してまるで自分がその場にいるかのような臨場感を味わえる。ドキュメンタリーにもかかわらず、インタビューもなければカメラを意識してこちらに視線を送る人もほぼ皆無。まるでそこにカメラなどないように振舞う素の状態の人々を見ていると、自分が本当にその場にいるような錯覚に陥る。「セリフも説明もなしにただそんな映像だけ見てて楽しいの?」と思うかもしれないが、リアルな目線を意識したカメラアングルや躍動感あふれる映像に圧倒されて、あっという間に時間が過ぎていく印象だ。
異国情緒たっぷりの現地の風景や民族衣装も映像に興を添えており、「みんなでご飯を食べるっていいよね」という気持ちにもさせてくれる。カレーができてそれを食べるまででで終わりではなく、その後の後片付けまできちんと追っているのがまたいい。洗った後の大量の食器が高速で食器かごに投げこまれていく様は、もはや曲芸レベルだ。何も飾らず何も足さずただただその場の光景をカメラに収めただけにもかかわらず、実にリアルに現地の空気感を伝えてくれるドキュメンタリーとなっている。監督は、移動式キッチンのシェフとしても腕を振るっているベルギーのフィリップ・ウィチュスとヴァレリー・ベルト夫妻。まるでインドにトリップしたかのような疑似体験ができるので、興味がある方はぜひご覧いただければと思う。(T)
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