(…前編「コナンがぶっちりぎりのV2達成!」より続く)
【週末シネマリサーチ】後編
〜週末公開作のランキングを予想!〜
◆口コミ効果で、『ちはやふる』は
前編上回る可能性も!
〇【4位予想】『ちはやふる -下の句-』
末次由紀の人気コミックを広瀬すず主演で実写映画化した『ちはやふる』2部作の後編。千早、太一、新の3人の友情、かるたにかける思いを爽やかに描く。かるた界の最強クイーンと呼ばれている若宮詩暢役の松岡茉優ら後編から登場のキャラクターにも注目が集まる。
3月19日に公開された前編『ちはやふる -上の句-』は全国298スクリーンで公開され、初週土日動員14万6000人という結果。非常に人気の高い原作コミックということで、公開前は否定的な見方も飛び交ったが、公開後は好評価の意見が多い。
前作同様、約300館での上映。前後編間隔をあけずに公開した『ソロモンの偽証』(松竹)が、初週土日動員比135%という数字を記録したという結果もある。口コミの評判からみて、前編から数字を上げてくる可能性は高い。こちらも15-20万人という動員は十分見込めるだろう。
▲【6位予想】『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』
マーベルコミックを原作にした『キャプテン・アメリカ』シリーズ第3弾。映画『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』(15年/ディズニー)の後の世界。アベンジャーズの派手な戦い方を制御するために、政府組織の管理下に置かれるという案が浮上。それに対してリーダーであるキャプテン・アメリカとアイアンマンが反目する。そんな中、壮絶なテロ事件が発生し……。
シリーズ第1弾『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(11年/パラマウント)が全国369スクリーンで公開され、初週土日動員5万8000人、第2弾『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(14年/ディズニー)が、全国488スクリーンで公開され、初週土日動員14万2000人という結果。
前述のとおり『キャプテン・アメリカ』シリーズ自体は、そこまで大きな数字になっていないが、時系列的にみると、本作は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』の後の世界。『アベンジャーズ〜』は全国774スクリーンで公開され、初週土日動員50万5000人と大跳ねした。ここまでの数字は微妙だが、「キャプテン・アメリカ」VS「アイアンマン」という構図は惹かれる。前作、前々作よりはいい数字を期待したい。
△【8位予想】『スキャナー 記憶のカケラをよむ男』
モノや場所に残った人間の記憶や感情である「残留思念」を読み取ることができる能力を持つ元お笑い芸人の主人公が、難事件に挑む姿を描いたサスペンス。主演は狂言師・野村萬斎。相方に宮迫博之。脚本は映画『ALWAYS 三丁目の夕日』(05年/東宝)や『キサラギ』(07年/ショウゲート)の古沢良太が担当。
野村萬斎主演映画『のぼうの城』(12年/東宝、アスミック・エース)は全国328スクリーンで公開され、3日間のオープニング動員40万9000人という大きな数字を記録した。
本作は約240館での上映と館数はそろった。3月27日には完成披露上映会が行われ、宮迫は野村を「変人」扱いし大きな話題になった。人気の古沢良太のオリジナル脚本。200館以上での上映作品では珍しくなった“原作なし”だけに、どこまで数字が伸びるか注目。6〜7万人という数字が一つの目安か。
△【10位予想】『追憶の森』
主演ショーン・ペンが第81回アカデミー賞主演男優賞を受賞した『ミルク』などを手掛けたガス・ヴァン・サント監督最新作。日本の青木ヶ原樹海を舞台に、絶望したアメリカ人男性と日本人との交流を描いたヒューマンストーリー。マシュー・マコノヒーと渡辺謙が重厚な演技を披露している。
渡辺の近年の出演作をみると『GODZILLA』(14年/東宝)が全国427スクリーンで公開され、初週土日動員33万9000人、『許されざる者』(13年/ワーナー)が全国327スクリーンで公開され、初週土日動員12万8000人という結果。
本作は約190館での上映。4月26日にはプレミアイベントが実施され、渡辺が出席。マシューからの「孫ネタ」を含む熱烈メッセージに苦笑いを浮かべる姿がメディアで報じられた。味わい深い作品だが、やや重厚さが漂うパッケージングだけに、どこまで幅広い層に作品が広がっていくかがヒットの鍵か。
【注目シネマ】
*『ノーマ、世界を変える料理』
イギリスのレストラン誌が選ぶ「世界ベストレストラン50」で3年連続1位を記録した、デンマークのコペンハーゲンにある人気レストラン「NOMA」のオーナーシェフ、レネ・レゼピを追ったドキュメンタリー。
2015年には、スタッフが日本のマンダリンオリエンタルホテルで限定レストランを開いたことでも話題になった「NOMA」。4月29日の公開時にはシネマカリテでの単館上映となるが、オーナーシェフの食へのこだわりなど見応え十分の作品となっている。(文:磯部正和/映画ライター)
磯部正和(いそべ・まさかず)
雑誌の編集、スポーツ紙を経て映画ライターに。基本的に洋画が好きだが、仕事の関係で、近年は邦画を中心に鑑賞。本当は音楽が一番好き。不世出のギタリスト、ランディ・ローズとの出会いがこの仕事に就いたきっかけ。
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