5月11日から22日の日程でカンヌ国際映画祭が開催される。コンペティション部門にはオリビエ・アサイヤス、ダルデンヌ兄弟、ペドロ・アルモドバル、ケン・ローチ、ニコラス・ウィンディング・レフンなど、ヨーロッパのカンヌ常連監督の新作が目立つ。
ヨーロッパで開催される映画祭ではあるが、映画祭を華やかに盛り上げるにはハリウッド映画やハリウッドスターらハリウッドパワーが欠かせない。まずはオープニング作品。今年はウディ・アレン監督の新作『カフェ・ソサエティー(原題)』だ。1930年代のハリウッドを舞台にした作品で、クリステン・スチュワート、ジェシー・アイゼンバーグ、ブレイク・ライヴリー、スティーヴ・カレルなどが出演。彼らが映画祭に来訪してオープニングを盛り上げることになるだろう。
特別招待作品には『マネーモンスター』(監督はジョディ・フォスター。ジョージ・クルーニー、ジュリア・ロバーツが出演)、『BFG』(スティーヴン・スピルバーグ監督)とハリウッドの話題作が並ぶ。
ハリウッドスターがカンヌを訪れるのは映画祭を盛り上げるためだけではない。映画祭には映画を売買するマーケットが併設されているため、世界中から数千人の映画関係者がビジネスのためにやってくる。映画関係者に自分の出演作をPRすることも大きな目的だ。
ところで、映画の祭典といえばアカデミー賞も有名だが、カンヌ映画祭とアカデミー賞では映画賞の対象となる作品の基準や選考方法は大きく異なる。カンヌは世界中の映画が対象。映画祭の事務局がコンペティション部門などの作品を選出し、審査員数名が各賞を選ぶ。事務局がまず振るいにかけるため、映画祭独自の色を出しやすい。このため、カンヌで度々上映される「常連監督」(カンヌが発掘した才能)が生まれるのだ。日本人では、『萌の朱雀』でカメラ・ドール(新人監督賞)を史上最年少で受賞した河瀬直美や、『海よりもまだ深く』がある視点部門に出品される是枝裕和、黒沢清らが常連組と言えるだろう。
一方、アカデミー賞はアメリカで公開される作品が対象でアメリカ映画が中心。ただしアメリカ映画以外が作品賞を受賞することもある(最近では12年に作品賞に輝いた『アーティスト』がフランス映画)。映画関係者で構成されるアカデミー会員約6000人が選出するため、カンヌのように独自の色は出にくい(今年のように「白人中心のアカデミー賞」となることはあるが)。
なお審査員長を務めるのはジョージ・ミラー監督、審査委員はマッツ・ミケルセン、キルスティン・ダンスト、ドナルド・サザーランド、ヴァレリア・ゴリノ、ヴァネッサ・パラディ、アルノー・デプレシャン監督、ネメシュ・ラースロー監督、プロデューサーのカタユーン・シャハビが務める。(文:相良智弘/フリーライター)
相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。
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