【映画を聴く】『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK -The Touring Years』前編
ライヴ・バンドとしての魅力を余すことなく凝縮
いよいよ公開が始まったロン・ハワード監督『ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK -The Touring Years』は、その副題が示すように、ビートルズがライヴ・バンドとして活動した時期にフォーカスしたドキュメンタリー映画だ。先立ってリリースされたライヴ・アルバム『ライヴ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル』(1977年リリースのLP『ザ・ビートルズ・スーパー・ライヴ!』をリミックス&リマスターし、4曲を追加収録したもの)との合わせ技で、初期ビートルズの驚異的な人気ぶりを浮き彫りにする。ちなみにビートルズの公式ドキュメンタリー作品が公開されるのは、1970年の『レット・イット・ビー』以来46年ぶりのこととなる。
本作の対象になっている具体的な時期は、リンゴ・スター加入直後の1962年8月22日、地元リヴァプールのキャヴァーン・クラブから、66年8月29日のサンフランシスコはキャンドルスティック・パークでのステージまで。しかし単純にビートルズのライヴ活動を時系列で追った記録映画というわけではなく、当時の社会情勢などもていねいに織り込まれており、そのあたりは『アポロ13』で徹底的にリアリズムを追究したハワード監督ならではの手腕が光っている。また、キャンドルスティック・パーク公演以降、レコーディングに専念したビートルズが次々と革新的な録音芸術作品をリリースしたことなどにも駆け足で触れ、グループとして最後のライヴ・パフォーマンスとなった69年1月30日、アップル社屋上での“ルーフトップ・コンサート”で本編が締めくくられる。
後編「熱狂する5万6000人超のファンの姿までクッキリ〜」に続く…
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