本田響矢と鈴木康介のW主演で挑んだオリジナルBLドラマ
BLドラマレーベル・トゥンクのコラボ第6弾となる『ジャックフロスト』の最終話が放送され、感動のラストを迎えた。
トゥンクは『高良くんと天城くん』『永遠の昨日』『飴色パラドックス』など多彩なBLドラマを提供してきたMBSのドラマシャワー枠×KADOKAWAが手掛けるBLドラマレーベル。2022年春からスタートし、当初1年間限定と発表されていた(さらに継続が決定して歓喜!)同ドラマレーベルの今年度の締めくくりとなったのが『ジャックフロスト』だ。これまで原作ものの実写化に挑んできたトゥンクだったが、満を持してオリジナルBLドラマを放った。
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その内容はなんと“記憶喪失もの”! 第1話を見たときに、ああ、そう来たか! と思わされた。コミックでも小説でも“記憶喪失もの”と言えば、BLの定番であり鉄板だ。その“記憶喪失BL”をどう見せてくれるのか、強く興味を持った。
舞台は寒そうな冬の東京。別れ話の直後に、律は事故によって記憶を失ってしまう。恋人の郁哉(ふみや)は律と付き合っていたことは隠して、ルームメイトとして2人の関係性をやりなおそうとするが……。律には『青春シンデレラ』や『絶対BLになる世界VS絶対BLになりたくない男』などの本田響矢が扮し、郁哉は『高良くんと天城くん』などの鈴木康介が演じ、W主演を果たしている。脚本と監督は新進気鋭の映画監督・安川有果と高橋名月が担当している。
2人に春は訪れる? 優しい温かさを味わいたい
本田も鈴木もリアルな手触りの好演を見せ、カメラは手持ちカメラも用いられていて臨場感があり、なおかつ繊細に丁寧に綴られていく。キスシーンやベッドシーンも上品でおしゃれで美しい。“記憶喪失もの”は悪くすると、ドラマチック過ぎてウェルメイドな作品に陥りがちだが、本ドラマは鼻白むことなく現実味を感じさせてくれた。良い意味で淡々と、それでいて叙情的に、東京の冬の凍えそうな心細さを感じながら2人に春が訪れることを祈るように見守っている自分がいた。
だってこれは前述したように完全オリジナルドラマ。原作はないから先は読めず、2人はいったいどうなっちゃうのかと、ハラハラとさせられる。さて、その結末は……。決して悲しい気持ちにはさせずに、春の訪れとともにほっこりと心を解かしてくれるものだった。ぜひ自分の目で確かめて、雪解けのような優しい温かさを味わって欲しい。
これを機に“記憶喪失BL”の名作にも触れてみてほしい
この作品が気に入ったなら、数多く描かれてきた“記憶喪失BL”を手にとってはいかがだろうか。小説なら著・砂原糖子&イラスト・葛西リカコの『心を半分残したままでいる』、著・朝丘戻&イラスト・テクノサマタ『あめの帰るところ』、著・木原音瀬&イラスト・祭河ななを『COLD FEVER』と麻生ミツ晃が漫画を手がけたそのコミカライズなどが人気だ。コミックなら山中ヒコ原作『ギブズ』やSHOOWA原作『向日性のとびら』などとともに、筆者が一番おすすめしたいのは阿仁谷ユイジ原作『もういちど、なんどでも。』だ。図太そうに見える受けが実は健気で涙腺崩壊させられる。『ジャックフロスト』しかり、“記憶喪失BL”には名作が多いから、興味があればぜひチェックを。(文:牧島史佳/BLライター)
ドラマシャワー『ジャックフロスト』(全6話)は下記にて放送中。
MBS/放送終了、テレビ神奈川/放送終了、群馬テレビ/毎週火曜24:30~、とちテレ/毎週水曜25:00~、テレ玉/毎週木曜23:00~、チバテレ/毎週木曜23:00~、ほか
※TVer、MBS動画イズムで見逃し配信1週間あり
※Huluで見放題配信あり
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