宮沢賢治の作品や詩には、宮沢賢治という男の人生全てがある
役所広司が主演する映画『銀河鉄道の父』の劇場公開に先立ち、4月5日にイイノホールにて本作の完成披露舞台挨拶が行われ、主演の役所、共演の菅田将暉、森七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中泯、成島出監督の宮沢家を演じたキャストが登壇した。
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本作の原作は門井慶喜の直木賞受賞小説だが、成島監督は「本屋で背表紙に『銀河鉄道の父』とあるのを見て、もともと宮沢賢治は大好きで映画にすることを考えたりもしたけど、なかなか難しい中で、(賢治の父親をテーマにした部分に)『あっ!』と思いました。すぐに購入して読み、(賢治の)お父さんは厳しい人という定説があったけど、親バカで、イクメンのはしりみたいな人で、ガツンときて、読み終わった瞬間、これはどうしても映画にしたいと思いました」と語る。
賢治の父・政次郎を演じた役所と賢治を演じた菅田は本作が初共演となる。役所は菅田との共演について「最高です!」とニッコリ。「もともと、菅田将暉ファンでしたし、いつか一緒に現場に立ちたいと思っていました。賢治という役が、菅田くん以外に思いつかないくらい、合っている役だなと思いました」と大絶賛した。これには菅田も「畏れ多いです」と照れつつ、「僕も“役所広司教”なので、こんな幸せな時間はないと思っていました」と役所への崇拝の念を口にする。
国民的作家である賢治を「実はダメ息子だった!」という大胆な視点で描く本作。役所は「この作品に関わって、原作を読ませていただき、政次郎という役をやって、宮沢賢治の作品や詩には、宮沢賢治という男の人生全てが詰め込まれているような、深さを感じました」と語る。菅田は「家族として描かれている宮沢賢治は見たことがなかったですし、童話作家、物語のイメージでしたが、初期の頃の作品は、家族の話や身近に起きたことの心情を描いていて、全然違う印象で、人間味に触れることができてよかったです」とうなずく。
森は賢治に対して、「教科書の中の偉人、文豪」というイメージを抱いていたというが、原作や脚本を読んで「こんなに面白かったんだ!と思いました。こんなにユーモアのある人たちに囲まれて生きている人だったんだと感じて、改めて作品を読むと何倍も面白く思えて、これが高校生の頃だったら何倍も楽しく教科書を開けていたのにと思いました」と、その魅力を語る。賢治の弟・清六役の豊田も「僕も教科書の人というイメージでしたが、詩を書いたり、チェロを弾いたり、農業をやったり、マルチに活躍していて、菅田と通じる部分があるんじゃないかと思っていました」と語る。
母・イチを演じた坂井は「『雨ニモマケズ』のストイックなイメージでしたが、すごく人間味があって、好奇心旺盛で、心の中にロック魂があるように感じて、それを知ってから作品を読むと、ロックな部分がいっぱいあるのを感じました」とイメージが大きく変わったよう。政次郎の父で賢治の祖父・喜助を演じた田中は「若い頃からよく作品には触れていました。僕はたくさんの人に憧れて生きてきましたが、その中でもかなり上位を占める人」と賢治への憧憬を口にした。
舞台挨拶の最後に役所は「成島監督の下に集まったスタッフ、キャストで一生懸命に作った映画です。みなさんの心に届くといいなと心から思っています」と語り、菅田は「笑うところもたくさんありますし、悲しいところもあります。宮沢家の愉快な家族の話で、僕も試写で観て素直に感動しました」とアピール。成島監督は「この日を迎えられて感無量です。この素敵なメンバーとこの映画をつくれたことを映画の神様に感謝します」と語り、会場は温かい拍手に包まれた。
『銀河鉄道の父』は5月5日より全国公開。
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