貪り食うのは料理かブランドか、格差社会でのしあがる若き料理人を描いたタイ映画に注目
主人公の成長を社会問題と絡めて描く『ハンガー:飽くなき食への道』
【Netflix TOP10】Netflixがオリジナル作品やライセンス作品を対象に、視聴時間で人気作品をランキングする「NetflixのTOP10」。今回「ムビコレ」がピックアップするのは、Netflixプレゼンツ『ハンガー:飽くなき食への道』(原題: HUNGER)。4月8日(金)から配信が開始され、スマッシュヒットのグローバルから一週遅れで日本(映画)でもランクインした。
・ハリウッドの“おバカな旅情殺人ミステリー”が大ヒット、Netflixトップ10に2作同時ランクイン
タイ・バンコクの旧市街。家族と営む食堂で料理人を務めるオエイは、ポールが率いるタイ屈指のシェフチーム「ハンガー」に誘われる。独創的な料理で富裕層たちから絶大な支持をうけるカリスマシェフに興味を引かれ、彼の厨房へと足を踏み入れると、そこでは絶対服従の異様な空間が広がっていた。初日から無理難題を言いつけるポールに反発しながらも、持ち前の負けん気と才能で彼の信頼を得るオエイだったが、スーシェフとして様々な現場に携わるうち驚愕の事実を目の当たりにする。
チュティモン・ジョンジャルーンスックジンの強い眼差しが印象的
本作は、貧富による格差問題を下敷きに、人間の飽くなき欲求を“渇望”として浮き彫りにするヒューマンドラマだ。天性の料理の才能を武器に、別世界だと思っていた高級料理業界でのし上がっていくヒロインの葛藤と人間的成長をドラマティックに描いた。主人公となるのは「なぜ自分が?」という疑問を抱えながらも長女の宿命として家業の飲食店で働くオエイ。「金持ちばかりが得をして、庶民は幸せになれない」と周囲の人間がボヤく中、“特別な存在になりたい”と願う彼女は千載一遇のチャンスを得るのだが、目標とするポールが心血を注いで作る至高の一皿は、ろくに味も分からないお金持ちたちに“ブランドもの”として消費されていく。搾取する側である富裕層たちが料理を貪り喰らうシーンはおぞましくも象徴的で、それが作品にスリリングな緊張感を与えている。
炎を操る女性シェフとして脚光を浴びるオエイを演じたのは、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』で注目され、『ハッピー・オールド・イヤー』で第14回アジア・フィルム・アワードの主演女優賞にノミネートされたタイ人女優のチュティモン・ジョンジャルーンスックジン。料理への情熱に突き動かされ、自身の限界突破に挑むオエイの意志の強さを強い眼差しで表現していて印象的だ。
グローバルで第1位、日本でもTOP10圏内に!
『ハンガー:飽くなき食への道』は4月8日(土)から配信がスタートし、初週の集計(4月3日~4月9日)でグローバル(映画/非英語)において第2位、2週目となる今週の集計(4月10日~4月16日)では視聴4,358万時間をマークしてトップに踊りでた。また日本(映画)でも今週の集計で第8位にランクイン、世界91ヵ国でもTOP10入りに。(文:足立美由紀/ライター)
【Netflix日本Top10(映画)/4月10日~4月16日】
1位『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』
2位『キル・ボクスン』
3位『ドライブ・マイ・カー インターナショナル版』
4位『ジャスティス・リーグ』
5位『スリーパーズ』
6位『トップガン マーヴェリック』
7位『キャッシュトラック』
8位『ハンガー:飽くなき食への道』
9位『暗数殺人』
10位『ハンナ』
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