音楽面から映画をチェックするコラム「映画を聴く」。毎週、多彩な映画レビューを掲載していますが、オススメしたい映画が多すぎてお伝えしきれないことも。そんな「取りこぼしてしまった」作品群から、「やっぱりオススメしたい!」という公開中の秀作をピックアップしてみました。
【映画を聴く】GW後半のイチオシ映画5本/前編
・海外からも引っ張りだこの作曲家が語る、話題作の舞台裏/川井憲次インタビュー
●『ゴースト・イン・ザ・シェル』(4月7日公開)
熱狂的なファンが多い作品だけに、このハリウッド版も公開と同時にさまざまな評価が飛び交っているが、押井守の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の世界観を逸脱しないよう、注意深くトレースされているので、大きく期待を裏切られることはない。実写ならではのフックを求めると食い足らないところもなくはないものの、“音”にシビアな押井マナーもしっかり踏襲しているので、クリント・マンセルらによる音楽はとても手堅い仕上がりだ。川井憲次が楽曲を提供している点も、押井版『攻殻』のファンには嬉しい。
●『LION/ライオン〜25年目のただいま』(4月7日公開)
インドで5歳の時に迷子になり、25年もの間故郷に帰れなかった男が、Google Earthを駆使して故郷の場所を突き止めるという、現代らしい寓話のような、実話をもとにしたドラマ。主人公のサルーは、養子として渡ったオーストラリアで何不自由ない日々を送っているが、その表情にはつねに陰りが見える。ドイツの現代音楽家、ハウシュカのサウンドトラックは、その心情を反映するような混沌とした楽曲を中心に提供しており、物語のトーンも思いのほかシリアスだ。主題歌「ネヴァー・ギヴ・アップ」は、オーストラリアの生んだポップスター、シーアが担当。『ファインディング・ドリー』や『秘密 THE TOP OF SECRET』に続く映画への楽曲提供となる。
●『光と禿』(4月22日公開)
こちらは新宿K’s cinemaでの1週間限定公開。すでに上映は終わっているのだが、追加上映を期待して。ワンマン・ユニット、クリトリック・リスで“下ネタのナポレオン”の異名を持つスギム=禿と、盲目の女の子の交流を描いた異色の青春映画だ。世間的にはほとんど知られていないこのアンダーグラウンドなミュージシャンを主役に、しかも本人役で起用した青木克齊監督の愛情と熱量がじわじわと伝わってくる。パンツ一枚でフザけた即興パフォーマンスを繰り返すこのハゲたおじさんが好きにならずにはいられなくなる、多幸感でいっぱいの1時間2分だ。
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