沖縄に生きる17歳少女の過酷な日々『すずめの戸締り』花瀬琴音が家族や友人とも連絡を絶って役作り

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『遠いところ』
(C)2022 「遠いところ」フィルムパートナーズ
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『すずめの戸締り』の注目女優が、若くして母親となった少女役で主演デビュー

花瀬琴音を主演に迎え、若くして母親となった少女が貧困や暴力に抗おうとする日々を描いた映画『遠いところ』。本作より、沖縄に生きる17歳のアオイを瑞々しく演じた花瀬のインタビュー&場面写真を紹介する。

・17歳の少⼥が直⾯する貧困、暴力…日本社会の不条理を突きつける衝撃作から過酷な現実示す場面写真

本作は、沖縄のコザを舞台に、幼い息子と夫との3人暮らしをする17歳のアオイ(花瀬)が、社会の過酷な現実に直面する物語。第56回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭クリスタル・グローブ・コンペティション部門に出品され、Variety誌に「貧困にあえぐ日本の性差別を、痛烈に告発する。溝口健二的な現代悲劇」と激賞された。

監督を務めるのは、長編デビュー作『アイムクレイジー』(19年)で、第22回富川国際ファンタスティック映画祭NETPAC賞(最優秀アジア映画賞)に輝いた工藤将亮。長編3作目となる本作では、4年に渡り沖縄で取材を重ねて脚本を執筆、全編沖縄での撮影を敢行した。

主人公アオイを演じるのは、昨年『すずめの戸締り』に出演して話題を呼び、本作が映画初主演となる花瀬琴音。東京出身の彼女が、撮影の1ヵ月前から現地で生活し、“沖縄で生まれ育った若者”アオイを体現する。

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花瀬は、2020年〜2021年に行われた総勢600名を越す沖縄・東京オーディションで主演に抜擢された。彼女が沖縄での1ヵ月の滞在期間で一番初めに役作りとして取り組んだのは、沖縄の言葉を習得すること。とにかく“聞く”ことを徹底し、地元の方からも沖縄出身と間違えられるほどまでに方言を上達させた。

花瀬は「聞き馴染みのある標準語や関西弁を一切遮断して、ラジオなどでとにかく沖縄弁をたくさん聞いてとにかく現地の方と話すことを心がけました。聞いて、口に出して、聞いて口に出して、それの繰り返しでなんとか方言を身につけました」と説明する。

役作りへの徹底ぶりはそれだけに留まらない。アオイの心情に寄り添うため、「なるべく人に頼らない。助けを求めない、自分の気持ちを話さない」ように自分自身を追い込んだ。「東京で心配して連絡をくれるお母さんや友だちにも、一切連絡をとりませんでした。それはアオイが後半につれて追い込まれていく中で、誰にも言えない。頼れない。助けを求められないという状況に少しでも寄り添いたかったからです」と述懐する。

花瀬が演じたアオイは、17歳でキャバクラで働く一児の母だ。自分とは全く違う環境に生きるヒロインを演じるため、彼女は水商売をしながら子どもを育てる人や、離婚したくてもできない人たちの話に耳を傾け、本作が描くリアルを感じとった。

花瀬は「『遠いところ』の台本を見て、自分の話のようだと話す方が沢山いました」と振り返る。アオイが2歳の息子に抱く母としての強い愛情については、「それぞれの環境の中で、子どもを想う母の気持ちを強く感じていました。若くても、遊びたくても、大変でも、心の真ん中にあるものは子どもなんだということは、私がお話を聞いた方々が教えてくれたことでした」と語っている。

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また、本作より場面写真3点を紹介する。最初の1枚は、夜の沖縄であまりにも辛い現実に途方に暮れ、遠くを見つめるアオイの姿をとらえている。続いては、顔をアザだらけにしたアオイが弁護士事務所を訪れた場面。アザの原因は夫マサヤの家庭内暴力だ。

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最後の1枚は、誰にも助けを求めることができず絶望に淵にいるアオイの背中が痛切なカット。キャバクラで働けなくなり収入を断たれたアオイは、俯いて途方に暮れている。彼女の隣には何も知らない幼い息子の健吾が寄り添っている。

映画『遠いところ』は6月9日より沖縄先行公開、7月7日より全国順次公開。

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