(…前編「珍しく漫画の実写化に成功! 決め手は徹底したくだらなさ!」より続く)
【元ネタ比較】『銀魂』中編
バカバカしさこそが「銀魂」の真髄
「週刊少年ジャンプ」で連載している大人気コミック「銀魂」が実写映画化された。監督が『勇者ヨシヒコ』の福田雄一と聞いて期待して見たが、さらにその期待を超えてくれた。
だって、だって、オープニングからして超絶にくだらない! くだらな過ぎる! もちろん、これ、褒め言葉。
坂田銀時に扮する小栗旬の自作自演による古臭くて安っぽいカラオケビデオ風映像が流れたり、『CDTV』を丸パクリしては「TBSに怒られる」と言ってみたり、小栗旬が彼のモノマネをする、おばたのお兄さんを逆にマネて「まーきのっ」というセルフパロディをやってのけたり。
すまない、ちょっとばかりネタバレしてしまった。しかし、この衝撃的なギャグ根性を伝えたかったのだ。ちょっと待ってよ、これスクリーンだよ! 映画だよ! テレ東の深夜枠じゃないんだよ!!と心の中でツッコミが止まらなかった。
オープニングが明けてからも、バカバカしさはまだまだ続く。銀さんはカブトムシ狩で一攫千金できるとテレビで知り、従業員の志村新八と神楽と共にいざ山へと向かうと、そこには素っ頓狂な格好をした真選組のメンバーがいて……。と、お約束のくだらない展開に突入。第一関節までスッポリ入った鼻ほじりもあれば、美人アナウンサーの結野クリステルアナも登場して結野アナ(けつのあな)が連呼されるし、ゆるキャラみたいな謎の物体・ジャスタウェイも随所に仕込まれている。ちょっと残念なのは、くだらない下ネタを極めたTVアニメの神回で、「ジャンプフェスタ2017」の「銀魂」ブースでも実写化して欲しい回1位に選ばれてた「二度あることは三度ある」の実写化は実現ならずだったこと。プールの話は夏にぴったりなのになぁ。
などといいつつ、いつまでもあって無きようなストーリーが続くわけではなく、「紅桜篇」をメインに描く本作は徐々にシリアスムードが増していき、攘夷志士として銀さんがもうひとつの顔を見せて因縁の対決にもつれ込んでいく。
あ、もちろん、ここってとこでは笑いを提供しながら。ちなみに、ジ◯リアニメのパロディには唯一、ピー音が入っていたが、ここだけピー音が入る方が違和感で目立つ。逆に、気をつかってますアピールの嫌味に聞こえて笑ってしまった。
気になるキャスティングも、メインからサブキャラの隅々に渡るまでめっちゃいい!
アニメ好きなオタク女子にも人気の高い坂田銀時を演じるのは、原作者も監督もイチオシ候補だったという小栗旬。銀さんは普段はぐうたら侍で死んだ魚の目をしてテレビを見ながら鼻をほじってるが、じつは“白夜叉”の異名で恐れられた剣の達人。やるときゃやる、アウトローなヒーローなところがアニメ女子のハートを射抜くほどイケメンなのだ。
『ルパン三世』のルパン三世役でもとぼけたところと鋭さの両極を併せ持ったキャラクターの魅力を再現できていた小栗は銀さんでもその魅力を発揮。こういう役どころがハマるのかもしれないと見直した。
ただ、アニメの銀さんに慣れ親しんでいたファンは銀さんの声は杉田智和でないと納得できないかもしれない。くだらないことを言いそうもないクールなイケボでくだらないことをシレッというのがいいのだからして、小栗旬の声で言ってもあまり意外性がない。
それでも、小栗の銀髪にジャージと着物を着崩した銀さんスタイルはやっぱりカッコいい。女性コスプレイヤーの銀さんは数々見たが、高身長で胸板厚い“漢”な出で立ちの銀さんを見ると、コレだよコレと思ってしまうのだ。原作に登場する小栗旬之助はやってくれなかったが、許そうじゃないか。
(後編「あの歌舞伎役者もモザイク入り全裸で天晴れな熱演!」に続く…)
『銀魂』は7月14日より全国公開される。
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