戦争を民衆の目線で描き、戦争に近づく現代の世相に問う
趣里、森山未來をキャストに迎え、塚本晋也監督が終戦直後に生き延びた人々が抱える痛みと闇を真摯に描く映画『ほかげ』。本作が11月25日より全国順次公開されることが決定した。
・「きっと、そうするしかなくなる」…人間の尊厳を奪う、戦争の悲惨さを描く“体感映画”
『鉄男』(89年)でのセンセーショナルな劇場デビュー以後、世界中に熱狂的ファンを持ち、多くのクリエイターに影響を与えてきた塚本晋也。戦場の極限状況で変貌する人間を描いた『野火』(14年)、太平の世が揺らぎ始めた幕末を舞台に生と暴力の本質に迫った『斬、』(18年)、本作ではその流れを汲み、戦争を民衆の目線で描き、戦争に近づく現代の世相に問う。
本作について塚本は「終戦企画と銘打って準備撮影を進めた『ほかげ』。世界の動きが怪しくなってきた今、どうしても作らずにはおれなかった、祈りの映画になります」とコメントを寄せる。
主演は、2023年後期のNHK連続テレビ小説『ブギウギ』のヒロインに抜擢され、今最も活躍が期待されている俳優・趣里。孤独と喪失を纏いながらも、期せずして出会った戦争孤児との関係にほのかな光を見出す様を繊細かつ大胆に演じ、戦争に翻弄されたひとりの女を見事に表現した。
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趣里は「憧れの塚本組。一生忘れられない経験をさせていただきました。最高のキャスト、スタッフさん、そして塚本監督と映画作りが出来たことが本当に幸せです。たくさんの心に留めておかなければならないことを教えていただきました。一瞬一瞬の感覚が愛おしく、悲しく、今でも忘れられません」と撮影を振り返る。
片腕が動かない謎の男を演じるのは、映像、舞台、ダンスとジャンルにとらわれない表現者である森山未來。飄々としながらも奥底に蠢く怒りや悲しみを、唯一無二の存在感で示している。
森山は「戦後の騒乱をさまよう報われない魂たち。そんな生きた亡霊たちを執拗に追い続けるまなざし。荒廃した世界で必死に生き延びようともがく主人公の無垢な瞳を通して見える世界は、塚本監督のまなざしそのものであり、あるいは、あなたの目に映る、私たちが生きるこの世界に対する視座でもあるのかもしれません。このような素晴らしい作品に関わらせていただけたことを、心から嬉しく思っております」と語る。
映画『ほかげ』は11月25日より全国順次公開。
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