豪華キャストにも注目、韓国ドラマ『カーテンコール』
北朝鮮に残してきた夫と幼子を思い続けて90代になったホテル「楽園」の会長、チャ・グムスン(コ・ドゥシム)は、ガンを患い、3カ月の余命を宣告される。彼女には韓国で築いた家庭があり、その3人の孫たちはホテルを巡って対立していた。長男はホテルの売却を目論み、末娘のパク・セヨン(ハ・ジウォン)はそれを阻止しようとしているのだった。一方、無名の演劇俳優ユ・ジェホン(カン・ハヌル)の元に、奇妙な依頼が舞い込む。それは、グムスンの北朝鮮にいる孫、リ・ムンソンを演じてくれないかという頼みだった。
・“純朴セクシー”なカン・ハヌルが愛を叫ぶ! シンママ×熱い男の恋の行方は?
ジェホンは夫婦で金持ち一家に潜り込むが…!?
ジェホンに依頼をしてきたのは、ホテルの前支配人でグムスンの右腕的存在のチョン・サンチョル。彼は、小さな劇場で北朝鮮の軍人役を熱演していたジェホンを見て「この人しかいない」と目星をつけ、法外な報酬を掲げて誘い込んだ。ジェホンは施設出身でバイトをいくつも掛け持ちしながら演劇に情熱を傾ける真っ直ぐな性格ゆえ、「詐欺では?」と気にしつつも引き受けてしまうのがやるせない。しかも、同じ劇団の若い女の子に妻の役を演じさせ、共に金持ち一家へ……。いつ嘘がバレるのかヒヤヒヤしながらもコミカルに話が展開していき、目が離せない。
いい人ばかりの一家に罪悪感を覚えるニセ夫婦だったが……!?
ジェホンたちの熱演により、グムスンをはじめ一家全員がニセ夫婦の虜になってしまう。金持ち一家だけに、誰か1人ぐらい意地悪な人がいても良さそうなものだが、家政婦も含め全員がいい人ばかり。そんな事実もあいまって、ニセ夫婦は少しずつ罪悪感を覚え始め、「もうやめたい」と言い始める。そんなニセ夫婦の心配がピークに達する頃、本物のリ・ムンソンが韓国に現れ、長男と末娘のセヨンもジェホンが偽物であることに気付いてしまう。意外にもずっと疑心暗鬼だった長男が急にジェホンに親切になり、逆にセヨンがよそよそしくなるという反応が面白く、ますますドラマの世界にハマってしまう。
『椿の花咲く頃』のカン・ハヌルが熱演!
施設出身の無名俳優を演じたカン・ハヌルは、1990年生まれの俳優。実際にもミュージカル出身で、数々のバイトを掛け持ちしたというから、今回の役はまさに適役といえる。韓国ドラマ『椿の花咲く頃』や、日本では22年12月に公開された韓国映画『ハッピーニューイヤー』などの話題作に出演している。
ホテル楽園の会長の孫の末娘で、ホテルの総支配人のセヨンを演じたハ・ジウォンは、1978年生まれの女優。1997年にドラマデビュー後、2003年の主演作『チェオクの剣』がNHKで放送されたことで知名度がアップした。
また、セヨンの婚約者をクォン・サンウが演じるなど豪華キャストぶりにも注目だ。
激動の時代を生き抜いた祖母を喜ばせたい家族の思いに涙!
ジェホンが熱演すればするほど泣けてくる本作。また、ニセ夫婦に対するセヨンの親切ぶりは際立っており、純粋なジェホンはすぐに恋心を抱いてしまう。早々に酔った勢いで「お姉さん、好きです」と何度も連呼するのには笑ってしまった。そんなジェホンの恋心にいち早く気づいた妻役の劇団員女性も実はジェホンに恋心を抱いており……。彼女の気持ちを考えると、切ない限りだ。そして、何より激動の時代を生き抜いた会長である祖母を喜ばせたいという家族全員の思いがヒシヒシと伝わり、心が温かくなる感動ドラマであった。(文:渡邉啓子/ライター)
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