身も心もお財布も捧げてしまうヲタク女子を見守りつつ選んだ2017年ベスト5

#子育て

『彼らが本気で編むときは、』
(C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会
『彼らが本気で編むときは、』
(C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

ラブコメ、アクション、ホラー……。どんな映画でも、ついつい“子育て”に結びつけて見てしまうママさんライターが話題作をママ目線で取り上げた人気連載、2017年のベスト5とは?

【ついついママ目線】2017年/親としてのヒントをくれたベスト5

映画を見ていると、本筋から逸れて登場人物の親目線で見てしまうことってある。作品がこちらに問いかけてきているようで、気づかせてくれることもしばしば。今年も親としての人生におけるヒントを与えてくれる作品に出会えた。感謝を込めて個人的なベスト5をご紹介。

●第5位
『スウィート17モンスター』
タイトル通り、17歳の思春期の少女ってモンスター! 自分に対しても、周囲に対しても、世の中に対しても不満しかない。さんざん当たり散らして周りを振り回し、それなのに恋愛がポジティブな方向に進み出しそうになればケロリ。あー、そうだよね、そういうものだよね、と思春期の少女の滑稽さを客観的に見せてくれた。こんなのに付き合ってたら身がもたない、親は静観してればいいのだろう。

これって誰トク!?の大変さ。思春期のコドモは複雑すぎる!

●第4位
『おそ松さん』
第1期が放送されたときは社会現象を巻き起こすほど人気となったシリーズ。人生で好きなことや夢中になれるものを見つけられるのはいいことだけど、『おそ松さん』に限らずアニメキャラに心酔するヲタク女子にはほどほどにね、と言いたい。今年も凍死の危機を感じながらジャンプフェスタに参戦する若いヲタク女子たちを見守った身としては、身も心もお財布も捧げてしまう彼女たちがちょっと心配。度が過ぎないように気をつけねば、と再認識させられた。

●第3位
『ちょっと今から仕事やめてくる』
ブラック企業のパワハラ上司のもとで働く主人公が、精神的に追い詰められていき、自殺願望を抱くようになる。劇中では謎の青年・ヤマモトとの出会いによって主人公はポジティブになっていくが、現実ではそんなに上手い出会いに恵まれる方が稀だ。会社を辞めていいんだよ、あなたの味方がここにいるよ、と子どもが窮地に立たされたときには伝えたい。そのためだけでも親の存在意義は十分あると思う。

●第2位
『僕と世界の方程式』
数学の才能はあるが、自閉症スペクトラムで他人とコミュニケーションを取るのが苦手な主人公を息子に持つ母親に共感。不器用で息子との距離は簡単には縮まらず、ときにはイラつきも隠せずにいる。それでも子どもにとってより良い人生を、という親としての一番基本的で大切な気持ちを忘れてはいない。この母親に支えられて息子は前に進んでいけるんだなと思わせるラストは感動的。

●第1位
『彼らが本気で編むときは、』

生田斗真がトランスジェンダーのリンコを演じたヒューマンドラマ。まだリンコが中学生男子であったとき、思いつめておっぱいが欲しいというリンコに、母は「女の子に産んであげられなくてごめんね」というのではなく、「そうだよね、女の子だもんね」と返す。この子どもの思いを肯定する母の強さと懐の深さは大事だと思った。だからこそ、子どものリンコは芯がしっかりしていて前向きなんだろう。我が子がLGBTであったり、親の想像を越えた問題を抱えていたりしても、子どもを否定せずに支えてあげたいと思う。(文:入江奈々/ライター)

入江奈々(いりえ・なな)
兵庫県神戸市出身。都内録音スタジオの映像制作部にて演出助手を経験したのち、出版業界に転身。レンタルビデオ業界誌編集部を経て、フリーランスのライター兼編集者に。さまざまな雑誌や書籍、Webサイトに携わり、映画をメインに幅広い分野で活躍中。