白人集団からの壮絶なリンチで息子を失った黒人女性…彼女の取った“アメリカ社会”を動かす驚きの行動とは?『ティル』公開決定
公⺠権運動を大きく前進させるきっかけとなった事件をもとに映画化
1955年8月28日にミシシッピ州マネーで実際に起きた「エメット・ティル殺害事件」。アフリカ系アメリカ人による公⺠権運動を大きく前進させるきっかけとなったこの事件をもとにした『ティル』が公開されることが決定した。本作よりポスター&場面写真を紹介する。
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世界的な人気を誇る黒人俳優ウーピー・ゴールドバーグ、『007』シリーズのスタッフらが製作する本作は、公開されるやいなや、各国の映画祭で賞賛の嵐を巻き起こし、主要60映画祭で21部門受賞&86部門にノミネートされた。なかでも主人公メイミー・ティルを演じたダニエル・デッドワイラーは、ゴッサム・インディペンデント映画賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー、サテライト賞など数々の映画賞で女優賞を総なめにした。
1955年、イリノイ州シカゴ。夫が戦死して以来、空軍で唯一の黒人女性職員として働くメイミー・ティル(デッドワイラー)は、一人息子で14歳のエメット・愛称ボボ(ジェイリン・ホール)と平穏な日々を送っていた。
しかし、エメットが初めて生まれ故郷を離れ、ミシシッピ州マネーの親戚宅を訪れた際に悲劇は起こる。エメットが飲食雑貨店で白人女性キャロリン(ヘイリー・ベネット)に向けて「口笛を吹いた」ことが白人の怒りを買い、1955年8月28日、彼は白人集団にさらわれ、壮絶なリンチを受けた末に殺されて川に投げ捨てられた。
我が息子の変わり果てた姿と対面したメイミーは、この陰惨な事件を世に知らしめるため、常識では考えられないある大胆な行動を起こす。そんな彼女の姿は多くの黒人たちに勇気を与え、一大センセーションとなって社会を動かす原動力となっていく──。
1955年8月28日にアメリカ合衆国ミシシッピ州マネーで実際に起きた「エメット・ティル殺害事件」は、アフリカ系アメリカ人による公⺠権運動を大きく前進させるきっかけとなったことで知られている。愛息を失った底知れぬ絶望を胸に、多くの黒人の生活を脅かすアメリカ社会にたった一人で立ち向かった母メイミーの大胆な行動力は人々に勇気を与え、キング牧師らが率いた公⺠権運動を一気に加速させる原動力となった。
そして21世紀に入り、2020年「ジョージ・フロイド殺害事件」を契機に、BLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動がアメリカ国内のみならず、SNSを通じて日本を含む全世界に拡大したことは記憶に新しい。黒人をはじめ著名人、セレブ、Z世代にいたるまで実に多くの人々が声を上げた大規模なこの抗議運動のうねりは、2022年3月、人種差別に基づくリンチを連邦法の憎悪犯罪(ヘイトクライム)とする「エメット・ティル反リンチ法」成立へと繋がっていくのである。
本ポスターは、母子が力強く抱擁する姿を捉えたもの。それぞれをかけがえのない存在として共に生きる2人の強い愛情が滲み出てくるものとなっている。場面写真は7点。息子を心配しながらも旅へと送り出すメイミーのほか、息子を失った絶望のあと“アメリカ社会”に毅然と立ち向かうメイミー、製作にも名を連ねるゴールドバーグ演じるメイミーの母親の姿などが切り取られている。
『ティル』は12月15日より全国公開。
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