ついに日本でも、セクシャルハラスメントが大きな問題として認識されるようになってきた昨今だが、昨年10月にハリウッドを震撼させた大物プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラ問題は今も映画界を揺るがし続けている。
・セクハラ一掃の決意! オスカー受賞のF・マクドーマンドも新提言
アシュレイ・ジャッドやグウィネス・パルトロウなど有名女優たちがニューヨーク・タイムズ紙やニューヨーカー誌に実名で被害を告発したのが発端だが、その経緯をブラッド・ピットがプロデューサーとして映画化することが、先日明らかになった。
ピットの製作会社「プランB」とアンナプルナ・ピクチャーズがニューヨーク・タイムズ紙による調査報道の映画化権を獲得し、女性記者2人の長期にわたる綿密な取材と記事発表までを描くという。ブラッドは90年代後半にグウィネス・パルトロウと交際中、彼女からワインスタインのセクハラについて打ち明けられ、直接ワインスタインに抗議したこともある。映画はワインスタインの悪行よりもジャーナリズムに焦点を当てた『大統領の陰謀』や『スポットライト 世紀のスクープ』のような作品になるようだ。両作ともアカデミー賞受賞作であり、映画業界の自浄という視点からも、気の早い話だが、作品の出来次第ではオスカーでの健闘も期待できる。
ワインスタインは記事が出た直後こそ反論したが、被害女性たちが集団訴訟を起こし、セクハラ被害者たちに声を上げることを促すMeTooムーブメントも広がる中、アリゾナ州の厚生施設に入所し、沈黙を続けている。一連の騒動について、ドキュメンタリー映画を自ら製作するという話もあったが、3月に開催された第90回アカデミー賞授賞式直前には会場付近にバスローブ姿のワインスタインの彫像「キャスティング・カウチ」が突如出現したり、授賞式ではセクハラ被害を告発したジャッドとサルマ・ハエック、アナベラ・シオラが登場し、セクハラ撲滅を訴えたり、と逆風は強まるばかりで、ドキュメンタリー製作の具体的な進捗はないようだ。
アシュレイ・ジャッドは、ワインスタインがセクハラに加えて彼女の悪評を流してキャリアを妨害したとして、4月30日(現地時間)に提訴した。訴えによると、ワインスタインは1998年、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作のピーター・ジャクソン監督にジャッドの悪口を吹き込み、ジャッドは交渉中だった同作への出演が実現しなくなったという。彼女がその事実を知ったのは昨年12月、ジャクソン監督がインタビューで「当時は知る由もなかったが、今振り返ると間違った情報を吹き込まれていたように思う」と語ったことからだという。
ジャッドによると、ミラ・ソルヴィーノも同じ理由で『ロード・オブ・ザ・リング』への出演が叶わず、サルマ・ハエックやユマ・サーマンを始め、ワインスタインの性的的要求はねつけた女優たちはキャリアを妨害されたとしている。
ワインスタインの代理人はジャッドの訴えに対して「ワインスタイン氏はジャッド氏を貶めたり、彼女のキャリアを妨害したことはありません」として、彼女を『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』のヒロイン役に強く推したこと、自らが製作した『フリーダ』(02)とハリソン・フォード共演の『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』(09)に出演させたことを例に反論している。
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