村上春樹の珠玉の短編作品「ハナレイ・ベイ」が吉田羊主演、佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE)、村上虹郎共演で映画化されることがわかった。
・村上春樹から映画化の打診。名匠が語る実現しなかった理由とは?
原作は、2005年に発表され単行本、文庫あわせて累計70万部を超えるベストセラーとなっている「東京奇譚集」(新潮文庫刊)の一篇。サーフィンに明け暮れる思春期の息子と、シングルマザーで彼を育ててきた母親サチの姿を描いた感動作だ。
ハワイのハナレイ・ベイで一人息子をサーフィン中の事故で亡くしたサチは、10年間、毎年息子の命日の頃にハナレイ・ベイを訪れ、ビーチの近くの大きな木の下で海を見つめ過ごしている。そんな時出会った若い日本人サーファーから“片脚の日本人サーファー”の存在を聞いた彼女は、自らの人生を変える一歩を踏み出すことを決意する。
吉田が演じるのは息子を失った母親サチ役。サチの息子・タカシ役に佐野玲於(GENERATIONS from EXILE TRIBE)が扮し、サチがハナレイ・ベイで出会う日本人サーファー・高橋役を村上虹郎が演じる。『トイレのピエタ』が多くの批評家から絶賛された松永大司監督がメガホンをとる。
本作主演に吉田は「読書が苦手だった私が、初めて一気に読んだ本が『ノルウェイの森』でした。頁を手繰る手ももどかしかったあのムラカミハルキの作品世界にしかも映画で自分が生きられる、これ以上の幸せはありません。予てよりご一緒したいと切望していた松永監督の現場は、厳しさと真剣さと愛で溢れていて、文字通り、監督と一緒に闘い作り上げた主人公サチは、もはや本の中の登場人物にとどまらず、ありありとした痛みを伴い実在する非常に生々しいヒロインになりました。恐らく、私がこれまで演じてきたどの役にもない生命力をサチは持っています。静謐ながら雄弁なカウアイ島の自然の中で『喪失』と向き合い、もがき苦しみながらも声をあげることすらままならない彼女の深い悲しみの先の、ふっと小さく生まれる救いのような希望のような何かを、日本そして世界中のみなさまと共有したいと願っています。村上春樹さん、松永大司監督、この映画に関わった全てのみなさまに感謝をこめて」とコメント。
村上は「ハナレイ・ベイでなら鮫に喰われてもいいんじゃないかと思うほど、カウアイ島の自然は美しくて神聖でしたが、絶対ダメです鮫は怖いです。高橋はなかなか掴み所のないモテたくてサーフィンをやっているような大学生ですが、時に熱い男で、相棒の三宅を演じた佐藤魁はほんとにワンダフルナイスガイなので面白いコンビになっていると思います」と述べている。
『ハナレイ・ベイ』は10月19日より全国公開となる。
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