役所広司、渋谷の公共トイレ清掃員演じた『PERFECT DAYS』の役作りは「掃除をプロのように見えるよう練習した」
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ニューヨーク映画祭プレミア上映に役所広司&脚本・プロデュースの高崎卓馬が登壇
名匠ヴィム・ヴェンダースが、彼が長年リスペクトしてやまない役所広司を主演に迎え、東京・渋谷の公共トイレ清掃員の日々を描いた『PERFECT DAYS』。現在開催中の第61回ニューヨーク映画祭にて、本作のプレミア上映が行われ、主演を務めた役所と高崎卓馬(共同脚本・プロデュース)がQ&Aに登壇した。
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1086席の客席は即座にソールドアウトとなり、いち早く本作を見ようと駆けつけた観客の熱気あふれる場内。上映後、2階席のふたりにスポットライトがあたると会場は大歓声に包まれた。役所と高崎ふたりのユーモラスな回答にときおり笑い声が響くなど、和やかな雰囲気で、映画祭プログラマーとのQ&Aが行われた。
自身のために書かれた平山という役を演じるにあたり準備したことを問われた役所は、「こんなにもすばらしい役を高崎さんとヴィム・ヴェンダース監督が書いてくれて幸せです。役を演じるにあたって一番大切だったことはやはり、トイレの掃除をきちんとプロのようにみえるように練習することでした」と語った。
ヴェンダース監督と共同で脚本を担当した高崎は、監督との脚本づくりについて、「最初からヴィムとは、フィクションの存在をドキュメンタリーのように撮ろうと話していました。脚本については、ものすごく台詞が少ないので、僕の娘は“お父さんはあんまり仕事してないんじゃないか”と思っていると思うんですけど…(笑)、ヴィムも僕も心がけていたのは、書いていないものをちゃんと書く、スクリーンに映っていない部分がちゃんと出るように、ということです。そして脚本に書いていないものを映像にするというのはやっぱり役所さんじゃないとできなかったなと思います」と語り、役所の“平山”としての佇まいを絶賛した。
平山の行動や感情を、脚本からどのように捉えて演じたのか問われると、役所は「台詞は少ないけれどもとても美しい脚本で、そこから想像されるキャラクターに近づくために、毎日毎日トイレの掃除をしながら、サンドイッチを森の中で食べて、お風呂に入って、好きな本を読みながら満足して眠りにつく男というのは、どういう人だろうと思い浮かべながら撮影をしていました。本当にドキュメンタリーのように、ほとんどテストがなく、本番だけを繰り返して撮っていたので、まるでそこで本当に生活をしているような撮影でした。もう二度と訪れない、今のこの瞬間瞬間を大切に生きるという風に心がけて演じました」と、撮影時のことを思い返すように丁寧に語った。
印象的な音楽の使われ方、選曲について問われた高崎は、「みなさんご存じの通り、ヴィム・ヴェンダースという方は映画における音楽の使い方が世界最高のディレクターだと思います。彼と“平山は何を聴いているのか”と、一緒に選曲をしていきました。脚本の段階で音楽のリストはほとんど出ていたのですが、いちばん驚いたのは、平山が聴いている音楽以外使わないということをある段階で決めたことでした。感情を説明する音楽を入れるんじゃなくて、平山さんが聴いているもの、見ているものを僕たちは受け取るという、その線をきちんと引いたということが彼の素晴らしいディレクションだなと感じました」と明かした。
最後に役所が、「平山さんは、財産といえるものは何も持っていないけれども最低限の生活で日々満足して眠りにつける人物。東京でもニューヨークでも、お金さえあればどんなものも手に入るけれど、手に入れても満足することがない生活をしている人が僕を含め多い中、平山さんは、コンクリートだらけの大都会の中でもひとりだけ、テレビもインターネットもなくて、彼に情報が入ってくるのは彼の耳と目で見るものだけ。森の中で心地よく住んでいるような感じがしました。都会の人たちが、そういえばこんな生き方もあるな、と思ってくれるといいなと感じました」と観客へのメッセージを送り、Q&Aは締めくくられた。
『PERFECT DAYS』は12月22日より全国公開。TOHOシネマズ日比谷にて10月24日〜30日まで特別先行上映。
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