役所広司、坂本龍一が”最後”のピアノ・ソロ演奏をする姿に「人間はここまで美しくなれるのかと感動しました」
東京国際映画祭での『Ryuichi Sakamoto | Opus』上映に役所広司が登壇
坂本龍一の最後のピアノ・ソロ演奏を記録した長編コンサート映画『Ryuichi Sakamoto | Opus』が、第36回東京国際映画祭にて10月24日に上映された。上映の前には、生前の坂本と親交のあった役所広司が登壇し、トークショーを行った。
2023年3月に逝去した音楽家・坂本龍一。2022年9月、闘病生活を続けていた彼が、最後の力を振り絞りソロ・コンサートを行った。東京のNHK509スタジオで行われた撮影には、2000年に坂本のためにカスタムメイドされ、長年コンサートで愛用したヤマハのグランドピアノだけで臨んだ。構成は「Merry Christmas Mr. Lawrence」、2023年に発表された最後のアルバム「12」からの曲、初めてピアノ・ソロで演奏された「Tong Poo」まで、自身が選曲した20曲。
ボーダーを越え活動を続けた坂本の軌跡をたどる曲目、鍵盤を奏でる指と音楽家の息遣い、その人生が刻みこまれた手。坂本が全面的に信頼を寄せた監督と撮影クルーたちが入念に撮影プランを練り上げ、親密かつ厳密な、世界でひとつしかない宝物のような映画空間を生み出した。
本作は、坂本自身がアプルーブし、入念なポストプロダクションを経て完成した、坂本の最初で最後の長編コンサート映画。ヴェネチア国際映画祭でのワールドプレミア後、山形、釜山、NY、ロンドン、東京と世界中の映画祭で賞賛を浴びた本作が2024年春、ついに日本公開となる。
第36回東京国際映画祭にて10月24日に上映され、坂本と親交のあった役所広司が登壇し、トークショーを行った。役所は「坂本さんに最初にお会いした時から、人間としてとても魅了され、尊敬し、勝手に恩師だと思っています」と、自身と坂本の関係を紹介。
本作については、「以前に坂本さんがお元気だった頃に対談させてもらって、その時にスタジオで演奏される姿を目の前で見たことがあります。その時は筋力に溢れていらして、その演奏もとても素晴らしかったけど、今日これから見ていただく作品の坂本さんは、その時のような筋力はないんですね。でも筋力はないけれど、一音一音に気を込めて弾いてらっしゃる姿が、そして色々なものを削ぎ落として演奏されている姿がとても美しく、人間はここまで美しくなれるのかと感動しました」とその魅力を語った。
『Ryuichi Sakamoto | Opus』は2024年春に全国公開。
・『Ryuichi Sakamoto | Opus』上映後のトークショーに登壇する役所広司の写真はこちらから!
・[動画]坂本龍一の世界でたった200人しか観られなかった幻ライブ/映画『坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK async』予告編
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