メリッサ・バレラはパレスチナ支持を表明し『スクリーム』シリーズ最新作を解雇に
10月7日(現地時間)から続くイスラエルとパレスチナ・ガザ地区を支配するハマスの衝突は1ヵ月半近く経ち、24日(現地時間)に4日間の一時停戦と人質の一部開放が始まった。
・ティモシー・シャラメ、“ハマス”をネタにしたコント演じ炎上 SNS上で「本当に不愉快でがっかり」など批判の声相次ぐ
アメリカにはユダヤ系の映画人が多い。ハリウッドは親イスラエル派とパレスチナ支持を表明する人々の分断が深まり、業界における両者の立場の差が目立ち始めている。
「ガザで起きていることを気にかけるのにパレスチナ人である必要はありません。私はパレスチナと共に立つ。全ての人が自由になるまで、誰も自由ではありません」と停戦を訴え続けているスーザン・サランドンは今週、所属するユナイテッド・タレント・エージェンシー(UTA)から契約を解除されたことが明らかになった。
サランドンはパレスチナ支持者によるデモや集会にも参加し、「今、ユダヤ人であることを恐れている人が大勢います。この国でイスラム教徒であるのがどのようなことなのかを味わっています」と発言したが、これを問題視されてのことだという。
同様にパレスチナ支持をSNSで表明した俳優のメリッサ・バレラは、出演していた映画『スクリーム』シリーズの最新作『Scream 7』から解雇された。
バレラはInstagramのストーリーで「西側メディアは一方(注:イスラエル側)しか映さない。何故そんなことをするのかは、あなた自身に推理してもらいます」と綴った。『スクリーム』シリーズの製作会社スパイグラスは米「Variety」誌の取材に、バレラの発言が反ユダヤ的だったとして、「スパイグラスのスタンスは明確です。我々は反ユダヤ主義やいかなるヘイトも容認しません」と答えた。
バレラは22日(現地時間)、Instagramのストーリーに「私は何よりもまず、反ユダヤ主義とイスラム恐怖症を非難します。私はいかなるグループの人々に対する憎悪や偏見を非難します」と綴り、「ラテン系として、誇り高きメキシコ女性として、私は自分の声を聞いてもらえる特権を与えてくれるプラットフォームを持つ責任を感じています。この地球上の全ての人は宗教、人種、民族、性別、性的指向、社会経済的地位に関係なく、平等な人権、尊厳、そしてもちろん自由を持つ権利があります」と改めて立場を表明した。
彼女の解雇報道の直後、『Scream 7』からはジェナ・オルテガが降板を申し入れた。理由はスケジュールの都合とされている。
また、ハリウッドの大手で西島秀俊ら日本の俳優もクライアントに名を連ねるクリエティブ・アーティスト・エージェンシー(CAA)のトップエージェントの1人であるマハ・ダキルも、インスタグラムで「これ以上心を引き裂かれることはあるでしょうか? 大量虐殺が起きているのを目の当たりにすること。大量虐殺が起きていることを否定するのを目の当たりすること」と投稿した直後、同社映画部門の共同責任者の職を解かれた。
これを受けて、彼女のクライアントであるトム・クルーズはダキルを支持することを表明、15日(現地時間)にCAAのオフィスに出向いてダキルと面会した。クルーズがこのように公に支援を行動に移すのは珍しいという。
一方、イスラエル寄りの言動をするセレブたちについて業界の対応は異なる。
Newsweek誌によると、人気コメディアンでユダヤ系のエイミー・シューマーはSNSで「テロリストがイスラエル人を殺しても黙っていたなら、イスラエルが自分たちを守っている時も黙っていて」とイスラエルのガザ地区への攻撃を支持、批判が殺到したコメント欄を閉じて、その後も姿勢を変えずに投稿、仕事も通常通り続けている。
11日(現地時間)に出演したTV番組「サタデー・ナイト・ライブ」でハマスをジョークのネタにしたコントを演じたティモシー・シャラメにはSNSで非難の声も上がったが、番組もシャラメ本人も反応せず、シャラメは主演作『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(12月8日公開)の宣伝で来日したばかり。
政治的立場を明らかにした発言の自由はあるが、その後の処遇には明らかな差が生じつつある。
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