趣里、主演を務めた『ほかげ』は「一見すごく対照的な役に見えますが…」『ブギウギ』のヒロイン・鈴子との共通点語る
『ブギウギ』で主演を務める趣里が初めて舞台挨拶に登壇!
趣里を主演に迎え、塚本晋也監督が終戦直後に生き延びた人々が抱える痛みと闇を真摯に描く映画『ほかげ』。本作の公開記念舞台挨拶が11月25日に東京・ユーロスペースで行われ、主演を務めた趣里をはじめ、塚尾桜雅、河野宏紀、森山未來、監督の塚本晋也が登壇した。
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現在放送中の連続テレビ小説『ブギウギ』で主演を務める趣里が本作の舞台挨拶に登壇するのは今回が初めて。趣里が「こうして皆さんにまた久しぶりに会えてうれしい。映画が完成したんだなと実感しました」と笑顔を見せると、塚本監督も「趣里さんと皆でようやく一緒に舞台挨拶ができて光栄です」と再会を喜んだ。
本作の主人公と『ブギウギ』のヒロイン・鈴子、同じ時代を生きた女を演じたことについては「一見すごく対照的な役に見えますが、戦争というものが残したものに苦しめられながら、それでも生きていくんだという一本の筋は一緒だなと思います」と共通点を語った。
役作りについて尋ねられた森山は、「とにかく塚本監督といろいろとお話をさせてもらいました。深い闇や傷を持っているけれども、生きるということに対する貪欲さやある種の健やかさというか、“生”をちゃんと掴んでいく真っすぐさを意識しました」と振り返った。
復員兵を演じるにあたり、ダイエットをして撮影に挑んだという河野は、「とにかく自分の精神に余裕を持たせないようにしようと、なるべく幸せみたいなものを感じないように生活をしていました。どこまでいっても当事者にはなれないんですけど、敬意をもって演じないといけないと思っていたので、復員兵が抱える心の傷について専門家に直接お話を聞いたり、ショッキングな映像を見せてもらったり、やれることは全部して撮影に臨みました」と念入りに準備したと明かした。
撮影時の思い出を尋ねられた塚尾は、「みんなでアイスを食べたり、駅の名前だけでしりとりをして遊びました」と懐かしそうに語った。
塚本監督は、「コンクリートの道の上に土を敷いて撮影した後に、スタッフやキャスト皆で土を掃いていたのですが、森山さんの動きがすごくて!」と振り返り、「iPhoneで皆が掃除する様子を撮っていたのですが、遠くから砂ぼこりを立てて何かが迫って来るんです。よく見ると、ほうきを持った森山さんだったんです! 僕が“ダンスみたいですね”と言ったら、“やっぱり無心でやるのがいいんだな”と仰っていました。Blu-rayとかの特典映像に是非入れたいです」と、森山の身体性の素晴らしさを垣間見たエピソードを語った。
趣里は、「ある日の撮影の合間に尋常じゃないほどの叫び声が聞こえてきて、え!?と思ったら、河野くんの肩にカミキリムシが止まっていて。こんなに物静かな河野くんが見たこともない顔と声ですごかったよね」と塚尾と共にビックリした出来事を話すと、河野は「自分でも聞いたことがないような声が出ました…」と恥ずかしがった。
最後に趣里は、「スタッフさん1人1人がものすごい力をくださって、すごく私のエネルギーになりました。そして、憧れの塚本映画に出演できて本当にうれしく思っています。監督のメッセージ、祈りが1人でも多くの皆さんに届きますように願っています」と思いの丈を伝えた。
そして、塚本監督は「“新しい戦前”という言葉もあるように不安な世の中になっていますが、なんとか自分たち、民衆の者たちがそういう場に行かないで済むようにという祈りを込めて、体感して実感できるような祈りを込めて作りました。その祈りを俳優さんたちがとにかく全身で表現してくれたのが一番の見どころです」とアピールし、舞台挨拶を終えた。
『ほかげ』は現在公開中。
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