父親から受けたトラウマのせいで暴れん坊に…ただ”ママに愛されたい”少女に起こった変化とは?『システム・クラッシャー』公開決定
#アルブレヒト・シュッフ#ガブリエラ=マリア・シュマイデ#システム・クラッシャー#ノア・フィングシャイト#ベルリン国際映画祭#へレナ・ツェンゲル#映画
10歳の少女の慟哭に涙…ドイツ映画賞の主演女優賞を歴代最年少で受賞
社会のどこにも居場所がなくなった9歳の少女を繊細かつ強烈な描写で描き、ベルリン国際映画祭やドイツ映画賞など世界各国で37冠に輝いた、新鋭ノラ・フィングシャイト監督の長編初監督作品『システム・クラッシャー』が公開決定した。本作よりティーザーポスター&特報映像を紹介する。
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“システム・クラッシャー”とは、あまりに乱暴で行く先々で問題を起こし、施設を転々とする制御不能で攻撃的な子どものこと。助けることができない子どもたちを指す言葉だ。
9歳の少女ベニーは、幼少期に父親から受けたトラウマを背負い、手の付けようのない暴れん坊と化してしまう。その怒りようといったら烈火のごとく、里親、グループホーム、特別支援学校、どこに行こうと問題を起こして追い出されてしまう。そんなベニーの願いは、ひとつ。「ただ、ママのもとに帰りたい」。しかし、母はベニーに対して愛情は持ちながらもどのように接していいのか皆目見当がつかず、施設へと押し付け続ける。
このままではどこにも居場所がなくなってしまうという中、非暴力トレーナーのミヒャは、自分とベニーの2人きり森深くの山小屋で3週間の隔離療法を受けさせることを提案。はじめは文句を言い続けていたベニーだったが、徐々にミヒャへ心を開き始め、ある変化が…。ぶち切れるのは愛の不足の裏返し。ただママに愛されたいだけの少女が突き進む崖っぷちの物語が、いま幕を開ける。
監督・脚本は、本作が長編映画デビュー作となるノラ・フィングシャイト。ホームレスのための避難所生活を描いたドキュメンタリーの撮影中、初めて“システム・クラッシャー”と呼ばれる子どもがいることを知ったことから、教育支援学校、緊急収容センター、児童精神科病棟などの関係者と綿密に取材を重ね、現場を体験しながら5年間のリサーチを経て脚本を執筆し、映画化した。
本作は、その繊細かつ強烈な演出により第69回べルリン国際映画祭のワールドプレミア上映では10分間のスタンディング・オベーションを受け、銀熊賞(アルフレード・バウアー賞)とベルリナー・モルゲンポスト紙読者審査員賞の2冠を受賞。その後も多くの批評家から絶賛を浴び、2020年ドイツ映画賞では作品賞、監督賞、脚本賞、俳優賞、女優賞を含む8部門を受賞。さらに、第92回アカデミー国際長編映画賞ドイツ代表作品に選出されるなど、世界各国で37冠(&26のノミネート)に輝いた。
ベニーを演じた主演のへレナ・ツェンゲルは、2008年生まれの現在15歳。撮影当時は10歳という若さで、2020年ドイツ映画賞の主演女優賞を歴代最年少で受賞する快挙を成し遂げた。出演シーンの大半が全身全霊の慟哭で周囲を絶望に追い込むという強烈な役どころ。悲しげな青い目で愛情を切望するかと思えば、一瞬で自信に満ちた小さなサタンのような目となる。叫び、悪態をつき、制御が効かない女の子に変貌して様々な感情の幅を演じ切った。
スクリーンで感情を揺さぶる子役は多くいるが、その中でも間違いなくトップ・レベルのヘレナは、本作出演後、名優トム・ハンクス主演作『この茫漠たる荒野で』(20年/Netflix)に孤児役で出演。早々にハリウッド映画デビューを遂げ、第78回ゴールデン・グローブ賞の助演女優賞にノミネートされた。
A24製作の『The Legend of Ochi(原題)』では、ウィレム・デフォー、エミリー・ワトソンとの共演が決定している。バラエティ誌の「注目すべき俳優リスト10人」や、ハリウッド・レポーター誌の「注目すべきヨーロッパの才能リスト10人」にも選ばれ、その恐るべき演技力は世界的にも注目となっている。
ベニーの救いの鍵を握るトレーナー、ミヒャ役には、『西部戦線異状なし』(22年/Netflix)で重要な役を演じ英国アカデミー賞ノミネートに輝いたアルブレヒト・シュッフ。ベニーを想う気持ちとは裏腹に、どうしても受け入れられない心の葛藤を、粗野的かつ繊細さが混在する表情で演じ、2020年ドイツ映画賞では主演男優賞を受賞した。
ベニーを担当するソーシャルワーカーを演じるのはドイツ界の名バイプレイヤー、ガブリエラ=マリア・シュマイデ。どの施設からも断られ続けるベニーを、つねに忍耐強く支える愛情深い演技で、2020年ドイツ映画賞の助演女優賞を受賞した。
『システム・クラッシャー』は4月27日より全国順次公開。
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