興収93億の最大ヒット映画『コード・ブルー』! 18年は邦画実写が盛り返す

#映画興収レポート#劇場版コード・ ブルー -ドクターヘリ緊急救命-#名探偵コナン ゼロの執行人#興行収入

『劇場版コード・ブルー‐ドクターヘリ緊急救命‐』
(C)2018「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会
『劇場版コード・ブルー‐ドクターヘリ緊急救命‐』
(C)2018「劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」製作委員会

2018年の年間興行成績をまとめたところ、興行ランキング1位は興収93億円の『劇場版コード・ ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』。テレビドラマ発の映画が年間1位になるのは12年『BRAVE HEARTS 海猿』(73.3億円)以来6年ぶり。連続ドラマのサードシーズンが始まったのが17年7月期。最終回で劇場版を発表し、公開したのが18年7月。ドラマと劇場版を連動させるフジテレビお得意の手法で、7年ぶりのドラマ&初劇場版が特別感を生み出し、イベントムービー化に成功した。

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2位は『名探偵コナン ゼロの執行人』。興収92億円をあげ、6年連続でシリーズ最高記録を更新した。10月19日から3週間限定で4D版を上映。興収約4億円を上積みしたが、『コード・ブルー』にはあと一歩届かなかった。通常、ファミリー向けアニメは大人になると卒業するが、『コナン』は卒業しない大人世代が人気を支えている。今回は人気キャラクター、安室透が登場するとあって、大人ファンの期待が大きかった。安室が映画に初登場したのが『純黒の悪夢』(16年)で、前作比18.5億円増を記録。安室が数字を持っていることが分かり、人気キャラクターが多い中、わずか2年での再登場となった。

大人を呼び込んだのは5位『映画ドラえもん のび太の宝島』も同じ。脚本を映画『君の名は。』をプロデュースした川村元気氏が執筆。大人世代にはおなじみの冒険小説『宝島』をベースにしたストーリーと、星野源の主題歌などがかつてドラえもんを見た世代を引き付け、シリーズ最高を記録した。

3位は『ジュラシック・ワールド/炎の王国』、4位は『スター・ウォーズ(SW)/最後のジェダイ』。どちらも前作から興収を落とし、『ジュラシック』は95.3億円から81億円、『SW』は116.3億円から75億円。特に『SW』の落ち込みが大きい。同作にはルーク・スカイウォーカーが再登場するのが話題だったが、彼が修行中のカイロ・レンを殺そうとしたり、レイアが宇宙に飛ばされてフォースで生還したことなどがファンの間で賛否が起きた。これらが興行成績に影響したようだ。

17年に続き18年も『グレイテスト・ショーマン』(2月公開)、『リメンバー・ミー』(3月公開)、『ボヘミアン・ラプソディー』(11月公開)と音楽映画がヒット。特に『ボヘミアン〜』は『グレイテスト〜』を上回り、ロングランヒットとなっている。

トップ10を見ると、洋画実写5本、洋画アニメ2本、邦画アニメ2本、邦画実写1本。17年は邦画実写が不振で、最大のヒット作が『銀魂』の38.4億円だったから、18年は邦画実写が健闘している。

一方『銀魂2』を除き、人気マンガの実写映画化は興行に期待外れが目立った。『鋼の錬金術師』『曇天に笑う』『いぬやしき』『BLEACH』が軒並み10億円前後。17年は『ジョジョの奇妙な冒険』など不振が目立ったが、マンガ実写化は曲がり角なのかもしれない。(文:相良智弘/フリーライター)

[2018年の公開作ランキング]
1位『劇場版コード・ ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』93億円
2位『名探偵コナン ゼロの執行人』92億円
3位『ジュラシック・ワールド/炎の王国』81億円
4位『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』75億円
5位『映画ドラえもん のび太の宝島』54億円
『ボヘミアン・ラプソディー』54億円
7位『グレイテスト・ショーマン』52億円
8位『リメンバー・ミー』50億円
9位『インクレディブル・ファミリー』49億円
10位『ミッション・インポッシブル/フォールアウト』47億円
(17年12月から18年11月9日までに公開された作品が対象。『ボヘミアン・ラプソディー』は12月16日時点の興収)

相良智弘(さがら・ともひろ)
日経BP社、カルチュア・コンビニエンス・クラブを経て、1997年の創刊時より「日経エンタテインメント!」の映画担当に。2010年からフリー。